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戦前戦後

10. ビックベン型中三針 目覚時計 【帝国時計工業】

資料 1 黒支夜光

MADE IN OCCUPIED JAPAN

メーカー 製造年代 大きさ 仕様・備考
帝国時計工業株式会社
(名古屋市瑞穂区竹田町)
昭和21〜26年頃(MADE IN OCCUPIED JAPAN) 直径 10.5cm
高さ 12.5cm
毎日巻き、目覚付、ケースは真鍮、裏蓋は鉄、台座部分と内部のゴトクがアルミ製、 セルロイド夜光黒文字板、中三針

帝国時計は戦前戦後の名古屋のクロックメーカーで、下に掲載の文字板画像にあるトレードマーク及び 「JUKOSHA」名で販売していました。 私の手持ちの資料「1952メーカーブック」及び「時計工業 調査資料 昭和23年3月」には、 共に製品として「目覚時計」しか書いてないので戦後まもなくは目覚ましのみの生産だったと思われます。

さて、この時計の説明を少し。 まず、外観は、戦後すぐの特徴である、「アルミ使用」が台座とゴトクに見られます。 台座はアルミに塗装しているので接着力が弱く触るとペリペリと大きな塊で塗装が剥がれてしまいます。 真中の銀色の部分は塗装なしでアルミがそのまま見えています。(そういうデザイン)

マーク類は、文字板に写真画像のトレードマーク、そして、機械に菱形にGOURDのマークが入っています。 GOURDって何??と辞書で調べたら「ひょうたんの実」と・・・。意味不明です。

機械は、舶来品に見られるように、長方形の機械がケース内部に斜めにセットされています。良く言えば合理的、 悪く言えば手抜きの設計で部品の耐久性もありません。 例えば、ベルの機構の一部であるザラガンギ車のザラ玉とザラピンなく、ザラ真に直接歯がついてい る、要するに昭和40年以降に見られる目覚ましみたいに部品が簡略化されているのですが、 その割に材料が良くないのか、磨耗が激しく歯車がきちんと噛合わずベルの回復ができませんでした。

「MADE IN OCCUPIED JAPAN」は、文字板の六時下だけでなく、ご丁寧に時鍵、打鍵の両方にも入っています。

ダイキャスト中三針時計

イマイチ出来の良くない印象の機械ですが、 当時の資料を調査したところ、独自のやり方で製造の合理化とコストダウンに取り組んだ製品であることを確認しました。 従来通りの部品を前提としたコストダウンの場合、自動機を採用するか部品を分業化して集団製作するかのいずれかになりますが、 地方の小メーカーがこれらの案を実現するには時間がかかるため、ダイキャスト生産方式に注目して研究を進め、 特に歯車の工作法で研究を重ねて特徴ある波形を設計し、これを全部品に対し打抜き加工で製作するようにして生産工程が1/3短縮される見込みとなり、 このダイキャスト中三針時計の製造・販売に至ったのことです。

帝国時計製ダイキャストマシン(湯量2000cc)

ガンギ車 工程の比較

1回抜3番歯車 1回抜ガンギ車

中三針ダイキャスト時計部品

文字板 拡大

特徴のある商標

資料 2 白支

TEIKOKU ALARM

PATENTED
22 2095
22 157A

白支夜光なしの仕様。こちらは文字板・ケースともに「MADE IN OCCUPIED JAPAN」がありません。

機械

地板の刻印

左上に T

資料 3 その他大勢

白支 夜光無し

修理済み

白支・黒干支 夜光無し

未修理

どういう訳か、三つまとめて出てきました。資料2 白干と同じタイプです。 風防はガラスではなくセルロイドのため、変形したり黄色く変色したりしています。

機械

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帝国中三針目覚

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