4. 高彫両柱スリゲル 【精工舎】
![]() |
![]() 八日持 焼エトウ |
メーカー | 製造年代 | 大きさ | 仕様・備考 |
---|---|---|---|
精工舎 (東京市本所区柳島町) |
明治40〜44年頃 |
文字板六吋 長さ二尺九寸(全長76cm) |
八日巻き機械、裸ゼンマイ 焼エトウ(舶来文字板) |
ボンボン機械、裸ゼンマイ、八日巻の旧タイプのスリゲルで文字板は琺瑯、
振玉板も同様に琺瑯、ビートスケールも琺瑯という珍しいタイプで、
この時計は、並スリから新型のパリーやベルリンが誕生するまでの過渡期のスリゲルと言えます。
カタログ中の焼エトウとは琺瑯文字板のことで、この文字板は明治44年以降のパリータイプの琺瑯文字板とは一味違った
アイボリー色の琺瑯でローマ数字の間の赤い模様がアクセントになったなかなかしゃれた出来の良い文字板です。
それもそのはず、明治42年のカタログを見ると「舶来文字板」となっています。精工舎製の文字板じゃないんですね。
舶来の部品を使ったのは、文字板だけでなく振り玉に付いてるRA板も舶来品です。
ビートスケールは明らかに文字板や振り玉とは色も質感も違いますが、
精工舎はその後も琺瑯のスケールは作っていませんのでやはりこれも舶来製でしょう。
精工舎の懐中時計の初期の製品はヒゲゼンマイやシリンダー脱進機などの部品に外国製のものを使っていましたが、
クロックも部品の一部に外国製を使っていたのですね。
文字板枠も置き時計仕様のような変ったデザインです。
上の右画像は明治41年精工舎製時計要覧からの抜粋ですが、 高彫両柱スリゲルは明治39年の資料には出ていませんので明治40年頃登場したものと思われます。 また、明治43年のカタログのスリゲルはこのタイプのスリゲルですが明治44年以降パリータイプが出てくると並スリや頭丸タイプを除いて、 この焼エトウ、ボンボン機械のスリゲルタイプは姿を消すようです。
![]() アイボリー色の琺瑯文字板(舶来品) |
![]() 振玉板、ビートスケールともに琺瑯 |
六吋琺瑯文字板、アイボリー色のとても素敵な文字板です。 実際は写真よりアイボリー色が強いです。文字板、振り玉の色に比べるとビートスケール板は純白色です。 振子は外観はパリータイプに似ていますが振竿に引っ掛ける、穴あきタイプです。
精工舎製国産文字板(ニス引き紙)を使用したタイプ
![]() ビートスケールのみ琺瑯 |
![]() ニス引き紙文字板 |
こちらの時計の文字板は琺瑯でなくニス引き紙。文字板枠のデザインは同じ。 振玉板も同じくニス引き紙。ビートスケールのみが同じ純白琺瑯製。 高彫両柱スリゲルには、 精工舎製のニス引きの紙文字板と振玉板を使ったものと、舶来品の琺瑯の文字板と振玉板を使ったものの、 二つのタイプが有ったということになります。
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