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スリゲル型 精工舎

3. 黒柿並スリゲル 【精工舎】

黒柿宮形スリゲル

(黒柿並スリとも呼ばれる)

明治41年カタログより

メーカー 製造年代 大きさ 仕様・備考
精工舎
(東京市本所区柳島町)
明治35年頃から大正12年関東大震災まで 文字板六吋
長さ二尺八寸
八日巻き機械、裸ゼンマイ
亜鉛板塗り文字板

明治30年代前期に登場したと思われるスリゲルの初期の型です。
この時計のような宮形と呼ばれるタイプと頭丸と呼ばれるタイプがいちばん古いスリゲルのタイプのようです。 精工舎では宮形を「並スリゲル」、頭丸を「上スリゲル」としていたようです。
「並スリゲル」「上スリゲル」ともに黒柿タイプ・木地塗り・黒塗りタイプの3種がありました。
このスリゲルのタイプは大正12年、関東大震災まで生産されています。

亜鉛板塗り文字板

この並スリの文字板は全てローマ数字、亜鉛板塗り文字板です。琺瑯タイプは有りません。 機械はボンボン式の旧機械で、裸ゼンマイ、八日巻き機械(並スリに香箱入りは有りません)、 振子はニッケルメッキ、文字板のトレードマークや上の擬宝珠の形などから写真の物は大正期の黒柿並スリと思われます。

なおこの時計には、振子の振りを見るビートスケールは付いていません。 明治35年の並スリから始まった精工舎のスリゲルシリーズの内、ボンボン式の裸ゼンマイ、ペイント文字板のタイプの スリゲルにはビートスケールは全て付いていなかったようです。
精工舎の明治35年〜大正12年関東大震災までのスリゲルのビートスケールについて以下にまとめます。

精工舎製スリゲルのビートスケール一覧

種 類 説 明
ビートスケール付かず ボンボン式機械=裸ゼンマイ、亜鉛版ペイント文字板のスリゲルにはビートスケールが付いて無い。 並スリ、上スリ、新イタリア形、黒柿小スリゲルなど。
琺瑯製ビートスケール 明治40年代初期の一時期に製造された、舶来琺瑯文字板付、明治40年代初期のボンボン式機械の スリゲルには文字板同様の舶来琺瑯ビートスケールが使われている。
ニス引き(紙)ビートスケール 上記のスリゲル(明治40年代初期)で舶来琺瑯文字板が使われていないものはニス引きの文字板同様のビートスケールが使われている。
金属製メッキビートスケール 明治44年以降の新型のユンハンス式スリゲル=香箱入ゼンマイ機械、琺瑯文字板に使われたビートスケール。 パリ、ベルリン、鷲付、ヒサゴ、筋ガラスなど。
  1. 亜鉛板塗り文字板=英語で言うpainted zinc dialという事で・・トタン?ブリキ板にペイント文字板という意味です。 (普通の古いボンボンの文字盤のことです)
  2. 並スリ・上スリは、ブリキ文字板、裸ゼンマイ(香箱に入らないゼンマイ)のボンボン式機械を使ったスリゲルということで、 後のパリーやベルリンと区別しています。最初はボンボン式機械のスリゲルしかなかったのが明治44年にパリー、ベルリンを 作ってユンハンス式の琺瑯文字板、香箱入りゼンマイの機械が出てきて、精工舎スリゲルには2種の機械が存在することになりました。 ボンボン式の方は安かったと考えられます。

ビートスケール全般については、 時計部品Close Up>ビートスケール の項を参照して下さい。

並があれば上もある

頭丸形が「上スリゲル」

明治41年カタログより

精工舎の明治40年代のカタログには黒柿並スリゲル(黒柿宮形)のほかに、 以下の種類の上スリゲルが有りますので頭丸形が「上スリゲル」であった事がわかります。

  1. 木地塗上スリゲル(木地頭丸)八日持
    第一二二号、文字板六吋、長サ三尺
  2. 黒柿上スリゲル(黒柿頭丸)八日持
    (右図ト同形ニテ黒塗スルモノ)
    第七二号、文字板六吋、長サ三尺
  3. 黒塗り上スリゲル(黒塗頭丸)八日持
    (右図ト同形ニテ黒柿ヲ用ヰタルモノ)
    第六五号、文字板六吋、長サ三尺

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