2. No.870/870R 新数回打 【精工舎】
No.870 新形数回打
メーカー | 製造年代 | 大きさ | 仕様・備考 |
---|---|---|---|
精工舎 SEIKOSHA |
大正12年頃〜昭和初期 | 本体直径10.5cm |
毎日巻き 目覚付(間欠式) 真鍮にニッケルメッキしたケース、 裏蓋は鉄製 紙製文字板 |
数回打(初期)の後継製品です。この新数回打は数多く販売されたようでよく見かけます。
特徴のある針は若干形状が変わりましたが基本デザインは引き継いでいます。
値段は夜光なしは二円七十銭、夜光については三円三十銭とヘソ目の1.5倍の値段、高級目覚しだったようです。
そのわりに骨董市などではヘソ目より安く売っています。
夜光タイプ(No.870R)は針の形状が上写真の夜光なしとは違います。(下の新形数回打 珍品系を参照)
昭和8年5月精工舎置時計・掛時計カタログより
新品の新数回打
気持ちのいい真っ白の文字板 |
裏も錆ひとつなくピカピカ |
これは新数回打の最も後期と思われ比較的数が多いものですが、新品といえるほどの素晴らしい状態。
どう見ても70年も昔のものとは思えません。どのように保存されていたのでしょうか?
Kitaさんが骨董市で発見、気持ち悪いくらい素晴らしい状態で「ナニか祟りでもあったら大変!?」と
このTIMEKEEPER博物館に寄贈してくださいました。
(注意:本当に祟りのあるものはご遠慮いただいてます。)
この時計、頂いたときは不動でしたが現在は元気に動いています。 分解してみた結果、動かずデッドストックになった原因がなんとなくわかりました。
- 輪列の一部に真鍮の欠片が挟まっていたため最初から動かなかった←1.5ミリ程度のものがあった
- 販売しようとした時計屋が動かないのでテンプやヒゲゼンマイをいじって何度も付け直したが結局動かず←ヒゲゼンマイが変形していた
- ゼンマイがぎっちり巻かれたまま何十年も放置され、ゼンマイが固着した。
テンプとアンクルを外してもまったくゼンマイが解けないのでよーく見たら真鍮の欠片を発見、これを
取り除いてこれで動くと思ったら、今度はゼンマイが固着して動かず。
ゼンマイをこつこつたたきながら注油して、なんとかザラの状態で動くようになりました。
その後変形したヒゲゼンマイを修正しようとしたら、なんとヒゲ持ちに固定するところから先約1センチが
ポッキリ折れた。ショック〜。
でも、ヒゲ玉をちょっと回転させ、ヒゲ持ちにひっかけるだけの余裕をつくってなんとか固定、その状態で
精度バッチリなのでヒゲゼンマイを交換する必要はありませんでした。
時計技術の相互研究 第2章に時計の故障簡易発見法として故障検査の順位がありますが、これが身にしみ
て理解できた感じです。
新形数回打 珍品系(真鍮磨仕上彫胴と絵入文字板)
夜光黒文字板
夜光黒文字板 |
真鍮磨仕上彫胴 |
夜光白文字板
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白文字板の夜光。黒文字板とは数字のフォントが違います。 箱は茶色で、絵はNo.870を流用していますが、Luminousとはいっています。
絵入文字板
No.870E 新数回打絵入 |
絵入は、販売価格は夜光より安価でしたが売る気がなかったのか売れなかったのかわかりませんが、現存数は極少です。 文字板は鍵S印ヘソ目の絵入とまったく同じもので材質はセルロイドです。
この図版は白支夜光と絵入です。「タムタム型・・・」とありますが、 キンツレの数回打の製品にTAM-TAMという名前がついていましたので、その名を拝借したのかも知れません。 絵入りは精工舎の置・掛時計カタログは昭和6年2月版に掲載されています。 「新しき製品」とありますので、これらは昭和6年早々の発売と推測できます。
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