20. モナーク数回打 大形 【カイザー(独)】
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メーカー | 製造年代 | 大きさ | 仕様・備考 |
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カイザー (ドイツ) |
1940年頃 | 直径13.0cm | 毎日巻き 目覚付(間欠切替式)、 ニッケルメッキケース、 板ガラス、 紙製文字板 |
ドイツの軍用腕時計っぽいと思い入手しましたが、よく見たらカイザー(独)製でした。 戦前に吉田時計店が同じMONARCHという名のスイス製の懐中時計や腕時計を販売しておりましたが、 それとの関係有無はわかりません。 直径13cmと大形の数回打で、黒文字板と針の夜光がきれいに残っています。 昔の夜光時計の多くは、夜光塗料が剥落してあまり光らなくなっているものが多いですが、 この時計を修理していて夜光機能がほとんど失われていないことに気づきましたので(写真5参照)、 昔の夜光塗料について改めて整理したいと思います。
キューリー夫妻が19世紀末に光線を自然発生する物質であるラジオアクティビテ(放射性物質)の存在を明らかにし、 その後4年の歳月をかけて莫大な鉱物を分析し、大量の見えない光を発する元素ラジウムを発見しました。 ラジウムには、放っておくだけで原子が次々に壊れてしまうアルファ崩壊と呼ぶ性質があり、このときに、アルファ粒子という小さなつぶが飛び出します。 こういった性質を持つラジウムに、エネルギーを与えると光る蛍光物質をあらかじめ混ぜておくと、 ラジウムから出たアルファ粒子が蛍光物質にエネルギーを与えることで自然発光する、これがこの時計にも塗られている夜光塗料です。 ラジウムを使った魅力的な夜光塗料は置き時計だけでなく軍用のウオッチにも盛んに用いられましたが、その後健康に悪いということが分かり、 今では 日光などののエネルギーを蓄え、そのエネルギーで暗闇で光を発する蓄光物質に変わっています。
こうした昔の夜光塗料は放射線を出すので危険物質であることは確かですが、放射線量はガラスなどで防げる程度なんじゃないかと勝手に期待して、 修理時に体内に入らないよう注意すればいいんじゃないかと、現時点では私はそう理解しております。 でも古いロレックスの文字板にも使われていて、腕時計はちっちゃくて夜光塗料の使用は超微量なのに気にされる方もおられますね。 それと比較すると置き時計はすごい量を使っていますが、汗。
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機械は時方のゼンマイが切れていたのでゼンマイを交換しました。(写真10参照) 間欠式ベルのため、時方の三番車でリピート間隔を制御していますが、 この機械は分解・組み立て作業の際に、間欠のための追加部品が煩わしくないように工夫されており、 間欠無しの時計と同等の整備性を確保している点に好感が持てます。 ベルの鳴り方は、REPEAT(間欠)かSTEADY(ロングアラーム)のレバーで切替え可能です。(写真4)
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