1. No.860 数回打(初期型) 【精工舎】
メーカー | 製造年代 | 大きさ | 仕様・備考 |
---|---|---|---|
精工舎 SEIKOSHA |
大正9年頃 |
本体直径12cm 奥行き7.5cm |
毎日巻き 目覚付(間欠式) 真鍮にニッケルメッキしたケース、 裏蓋は鉄製 紙製文字板 |
これが初期型の数回打「INTERMITTENT」です。
普通の目覚ましは、ゼンマイがほどけきるまで途切れることなくベルが鳴り続けます
が、これは25秒程鳴っては25秒程止まり、また鳴っては止まりと繰り返します。(間欠式ベル)
電池の目覚ましでもそんなのがありますね。
骨董市の業者さんでも間欠式ベルを知らない人が結構います。壊れていると勘違いしているようなら、
安く買いたたきましょう。(笑)
前期型と後期型
この初期型数回打は若干の仕様違いで2種類に分類できます。
写真の時計は前期型と言えるものです。前期型と比較して後期型は、以下のように仕様変更されています。
- 文字板の字体が若干変更され、3枚の薄い紙の貼り合わせになった
- 目安廻しが少し短くなった(機械の目安真を長くしている)
- コハゼバネが一般的な針がねのようなタイプになった
- 打一番車の形状が変更された
お手本はドイツのユンハンス
不恰好なこの数回打は、精工舎が考案したのかと思いましたが、スタイル、構造ともに明治後期から販売されていた
ドイツのユンハンスのREPETAT ALARMと共通点が多いことがわかりました。
共通点は全体の形、打ち玉の出し方と中蓋のある二重構造、裏蓋を二本のネジで固定しているところ等です。
側(金属枠)はユンハンス製は一体成形ですが、この数回打は硝子縁周りと本体の部分を別々に作成して組み合わせています。
一体成形は困難であったためにこのような構造に変更したと考えられます。
裏蓋の固定ネジはユンハンス製は裏蓋のネジ穴周りをえぐって止めネジがピッタリおさまるとともにずれないようになっていますが、
この数回打はそのような細かい気遣いがなく裏蓋に穴をあけて単純にネジを締めこんであるだけなのでネジか少し緩むとガタツキがでます。
構造上の明らかな違いはベルのストップがユンハンスは取っ手付近のボタンで行うのに対して数回打はヘソ目と同じ単純な方式をとってい
ること。
やはり全体的に本家のほうが出来も格好も良いようです。
写真の数回打の針は黒塗りですがブルースチールのタイプもあります。
大正9年輸出用カタログより
ハートHにそっくり兄弟がいたらしい・・・
精工舎と同製品とあります。なんと、カタログの図版は精工舎のカタログをそのままパクッていて、 トレードマークは精工舎のままです。実物はどんな時計なのでしょう。
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