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時計技術の相互研究

1. [問]時と時計の起源に就いて

[答] 時とは其の昔、漏刻と申し水の滴りに依り其の時の移り、つまり時刻の過ぎ去りを知る為の天を 計る機械でありますから之を時計と名付けたものです。(之には種々の説明あるも詳細は省く)
又、起源と申しても古き時代から言えばボルネオ人が太陽によりて時を測定したとか。
支那では水で時を量ったとか言ふこともありますが、我が国では天智天皇の御宇に時の制定を行はれたのが初めてです。
其の最初は水時計が作られたと言ふことでありますから、 現時行はれて居ります六月十日を時の記念日として財団法人生活改善中央会では時の貴重なる所以を説かれて居りますのも此の故であります。

2. [問]我が国の標準時に就いて

[答] 地球の丸いことは御存じの通り、丸い物は三百六十度と定めてあることも知らるし通りであります。 其の地球が一回転すれば一昼夜です。一昼夜は二十四時間だとは小学生でも算へる処でせう。
そこで標準時はグリニッチ天文台を起点として地球を東西百八十度づつ経度を定め、其の天文台を通る子午線を本初0度としている、 即ち右経度三百六十度を二十四時間で割るから一時間は十五度に当たるのです。
グリニッチ天文台から東経百三十五度に位する通過を我国の標準時とし、 我国では神戸より少し西に当たる辺の子午線を中央標準時に定め(明治九年の頃)更に明治十一年に又十九年一月に東経百二十度 (台湾八重山群島○に於て)を西部標準時と定め、更に大正六年より南洋諸島に東・西・中の三つの標準時 を定められましたが最近は前述の中央標準時丈けを用ひる様になりましたから台湾に於ては実際の正午より 一時以上早く午前十一時を正午(十二時)と見る様な訳です。
東京横浜地方は正午より二十分遅れている訳になると心得ていてよろしい訳です。 (参考書ウオルサム会社の時計読本参照)

3. [問]ラジオの時報経路と正確

[答] ラジオの時報は近頃正確で結構です。 其れだけに時計が正確か否かが簡単に問題にされますので時計業者としては ラジオの時間の正否と共に時計修繕技術の上に充分の注意をはらわねばならない事にになりませう。
放送局の時報は、銚子無電局の時報信号を受信して之を聴取者に報時していたのですが、最近は系統が変わった様です。 船橋無電局は銚子局と連絡あり船橋局は毎日(日曜不休)東京天文台の時報時信機により自動的に発進し 船舶の位置を特定する為に最も正確なる事を要すべく為に一秒の百分の一までも正しく発信し、 その誤差は毎月十五日の官報で発表している位ですから正確な訳です。

4. [問]天文台の標準時計

[答] 東京天文台では、リフラー天文時計を主としています。(独逸製で数十年前価格七千五百円位で設置されたもの) 他に英国製のものも使用していますが何れも掛時計の様式です。 其の設備は実に手数をかけたもので、振り玉等々は無論のことだが振り玉は硝子製の大きな筒の中にあって、 其の中は真空に近い程度に排気して振り玉に振動の抵抗をなくする装置や、 また地下室に厳重な扉の二重室内に何時も摂氏十八度に保持すべく自動電気装置が施した乾湿の調節設備等も附随してあります。 かかる装置の下に一ヶ年に一秒時の誤差をも入釜しくいふ状態に置かれています。 又同室内に二日巻の英国製クロノメーターもありまして午前九時には全部巻く事になって居りますが ○て時計は一切の振動を受けない様に設備と方法が盛られて居ります。

5. [問]電気時計のサイクル

[答] 電気時計は簡易で便利ですが元来電気に依って作られたものだけに時計業者として必要な修繕の場合を考慮に入れられていない性質のものです。 又之に応用されるサイクルは元来電気の統制以前に発表されたために各発電所の自由でありましたが 鉄道其の他の電気時計の要素が多くなった頃から、大体関西60、関東50サイクルの統制が行はれましたから、 地方の発電規格によりこれが判然する訳です。 尚電気時計の故障の場合、時計業者に修理を依頼される様ですが以上の様な構造からしましても普通一般の時計修繕とは 其の趣が違ひますので之は多く電気業者の分類に属する場合のものが多いようですから、 電気時計の修繕依頼に対しては予めこの点を○がくべきだと思ひます。

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