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高度計 Altimeter

18. MICRO SURVEYING ALTIMETERS

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MICRO SURVEYING ALTIMETERS

Model MDM-5
-100m to +2500m Graduations 0.5m

Manufacturer Date of Object Dimensions
AMERICAN PAULIN SYSTEM. LOS ANGELES, CALIFORNIA Around the 1960's 7 inches diameter and 4.5 inches deep
leather carrying case and shoulder straps

アネロイド式の気圧計・高度計は、液体を使わない方法で気圧を測定する機械式の測定機器です。 1844年にフランスの物理学者ルシアン・ヴィディ(Lucien Vidie)が考案した空ごうを利用した所謂ヴィディスタイルのムーブメント をベースとした製品が現代でも製造されていますが、精密型として諸々改良を加えた高級機種でもない限りアネロイドムーブメントの 測定精度はかなり誤差がでます。 また、大気圧による空ごうの変動をピボット、セクター、チェーン、ベアリング、レバーなどの組み合わせを介して目盛盤の指針に伝えているため、 どうしてもそれぞれに摩擦部分が生じて計器の感度と精度を低下させてしまうのです。 そのため、読み取りの前に示度を落ち着かせるために目盛盤のガラス板を軽くトントンと指先でたたくことが常識となっています。

この問題を解決するために、ストックホルムのスウェーデン人エンジニア、G.ポーリンが開発したのが「アメリカン ポーリン システム構造」 で当時の説明をみると「当社独自の計測システムは、ヴィディ以来の100 年以上ぶりの新原理のアネロイド構造」とし、 まさに入魂の一作でしょうか、次のように説明しています。

「当社の計測器はゼロ測定原理に基づいて動作し、温度補正しています。 大気圧の変化はダイヤル上のフィート高度またはインチ圧力で直接かつ摩擦なく読み取られます。 遅延なく瞬時に高度を表示し、測定のために計器を「タップ」したり振動させたりする必要がありません。 高度計の指針はナイフエッジ型、バランス計は視差を排除するためのミラー付きの針先型です。」

原理の概略

  1. 空ごう(真空ボックス)と指針間のすべてのベアリングを除去
  2. ゼロゲージ法を使用することで、真空にされたボックスは、計器を読み取る際に常に正確に通常の位置に置かれる
  3. 真空ボックスの膨張と収縮をわずかな量に制限するストッパーを設置

ポーリンシステムの構造イメージ図を当時の資料から拝借してきましたので説明すると以下ようになります。

The Inproved Paulin System of weighing Atmospheric Pressure

(A)の真空ボックスは柔軟な波形ダイヤフラムで覆ったポーリンシステムの改良型で その中央はステムによってビームの一端に接続されている。 (B)ステムのもう一方の端はバネを支える。 (C)のスプリングの張力は回転ナットによって制御される。 (D)はダイヤルに固定されている (E)ダイヤルは真空ボックスに作用する大気圧の影響をバランスさせる。ビームは水平になり、バランスは指針で示される。

ここで、大気圧の低下、または機器が海抜より高い位置に移動されたことが原因で大気圧が減少したと仮定すると、 ステム (B) によるビームの引っ張り力は、スプリング (C) によるビームのもう一方の端の引っ張り力よりも小さくなり、 その結果、ビームは上部ストッパー (G) に触れるまでわずかに動く。 指針(F)は右に移動し、不均衡を示す。 次に、ダイヤル(E)はノブ(H)によってスプリング(C)の張力を減らす方向に回転する。 その後、ビームは水平位置に向かって戻り、ポインターがゼロマークの反対側にあるときにバランスが示され、 真空ボックスの引力がスプリングによって加えられる引力と正確にバランスする。

目盛盤上を指針が移動した距離は気圧の変化の尺度であり、 気圧計の場合は目盛盤に水銀柱インチ(現代の単位はhPa)の目盛りが付けられ、 高度計の場合はフィートやメートルの目盛りが付けられる。

製品の供給先

このシステムの特許は、 1919 年と、1926 年に米国で取得しており、最初の特許は大正時代ですから思いのほか歴史があります。 写真の製品は、革のケースの蓋の裏側に某大学の理学部の備品であったことを示す管理番号が書き込まれています。 製造年代は、1960年〜1970年の間くらいかと思います。

1929年の測量用高度計カタログには、以下のように記載がありますので 戦前には既に日本に販路があったようですが、日本国内で見つかるのは超稀です。

「アメリカのポーリンシステムの製品は世界中で使用されています。 この国では、連邦政府、州、地方自治体のさまざまな部門、およびすべての主要な測量士、エンジニア、探検家、地質学者、 石油および鉱山会社、教育機関、研究所などによって指定されています。 現在、この会社は米国の主要都市にオフィスや代理店を構え、カナダ、南アメリカ、中央アメリカ、中国、日本、 太平洋諸島にポーリン システム機器を供給しています。」

モデル一覧

MICRO SURVEYING ALTIMETERS

Field Altimeter

Model MDM-5は、測定範囲が-100m to +2500m でGraduations(目盛) は唯一0.5mですから、 家の一階から二階へ移動しただけで高度の変化を視認することができます。 気になるのは、柳計器の精密型気圧計とポーリンシステムの機構とどっちが出来がいいのか?ですが、 実際に測定して比較したわけではありませんが、 気圧計としては、加速度補正のついた柳計器がの方が実用的、 高度計としては気圧の変化が直接指針の誤差に現れないポーリンシステムの方が扱いやすい、そんな気がします。

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