10. 忠臣蔵八景 二だんめの晩鐘 三代豊国筆
本図の推定について
加古川本蔵が櫓時計に手をかけている図です。 忠臣蔵二段目の錦絵は、九ツの時云々の時打の鐘の響きを取り入れて、櫓時計を描くのを様式としたとみられています。
「歌舞伎の「仮名手本忠臣蔵」二段目を描いた錦絵に櫓時計の図がある。 この二段目は、桃井館の場で、桃井若狭助が高師直を討ちとる決意を執権職の加古川本蔵に打ち明けているうち、九ツの時計が鳴る。 本蔵が、今夜は未だ九ツ。くったりと一休み。枕時計の目覚まし、本蔵が仕掛け置く。と若狭助にいいおえ、早馬で師直にわいろを届けにゆくのである。 豊国の「浮絵忠臣蔵二段目」には、桃井館の庭に面した廊下に若狭助と本蔵がみえ、奥の部屋に櫓時計が描かれている。 鐘が黄刷、櫓の台が黒刷の櫓時計が、九ツを打っているというべきであり、若狭助の座敷には、枕時計があると推定できる図である。 三代豊国の「忠臣蔵八景 二段目の晩鐘」は、加古川本蔵が櫓時計に手をかけている図で、黄刷の鐘と一挺棒天府、文字盤のある函は赤茶刷、櫓の台は淡黄刷で、 時計の全容は、ほぼ正確である。 この外題は春信の「座舗八景 時計の晩鐘」をうけている。」
参考文献:「錦絵時計図」 鈴木寧著、昭和56年緑の笛豆本の会刊
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