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時計錦絵

5. 玉葛初めて室町へ出る粧ひの図

玉葛初めて室町へ出る粧ひの図

三代豊国筆、幕末頃

玉葛初めて室町へ出る粧ひの図

これは和時計を三枚続きに描いた最初の錦絵として有名である。 源氏物語になぞらえた画面の部屋の隅に一挺天府の台時計が描かれている。 四脚の台の上に実在しない不思議な墨流し模様の台座が乗っていて異様な形に描かれているのが惜しまれる。

過去の作品をそのまま踏襲したしたため正確に描かれた和時計は少ない。 所詮錦絵においては女性の艶やかな姿態が中心であり、和時計は添え物にすぎないのである。

玉葛初めて室町へ出る粧ひの図

三枚続き

玉葛初めて室町へ出る粧ひの図三枚続き

墨流し模様の台座について

錦絵の櫓の不可思議な墨流し模様の出どころについては、以下のように解釈されています

「墨流し模様についてのことであるが、「増補頭書訓蒙図彙大成」にのっている「土圭」の図は、櫓台の木目を強調して描いたためか、 木目の模様が墨流し模様に類似している。三代豊国などが、櫓時計を描くにあたって、こうした書冊を粉本にでもしたおり、 墨流し模様に見える木目の台を、時計の箱と認識したのか、あるいは、描法上装飾的に見せるため、墨流し模様のある箱を敢えて置いてしまったのか詳らかではない。」

参考文献:「錦絵時計図」 鈴木寧著、昭和56年緑の笛豆本の会刊

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