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懐中時計の基礎知識

2. 他の式に於ける組立の異りたる点

其他の式に於ても、大同小異で、前式に於て良く了解熟練したら、他の如何なる式に於ても実物にあたり良く注意せば、自然と了解されるのであるが、 重なる点を掻い摘んで、少し説明を加えて置く。

押の数は、沢山に分割されて居る程、組立て易い。 寡く分割されてある程六ヶ敷ので、殊に一枚押即ち押が一枚となって居るものが、最も組立て悪い。 之等のホゾを入れ込むには、香箱の方より順々に嵌め込み、左手にて入ったホゾが外れない様、柔らかに押さえて居て、全部嵌め込んで、 ネジにて締め付ける迄、左手を緩めてはいけない。

之等は素人の間は、非常に難しいの様な感触を懐くのであるが、少し慣れたら左程難しいものではない。

裏車龍頭巻のものは、全舞巻車が裏面に付くのであるから、香箱を地板に嵌め込む前に、全舞巻車を香箱下真に嵌め込む。 其際下部にあるコハゼが、巻車の歯と歯の間に嵌まる様にして、嵌め込むことを忘れてはならない。

米式龍頭巻(ウォルサム、エルヂン、スタンダード等)は器械を側に嵌め込むには、側にある龍頭を、剣を廻す時の様に少し引き出しておく方がいい。

押ボッチ式は、器械を側に入れる前に押ボッチを側の所定の穴に入れて置く。

鎖引時計に於いては、香箱及び一番より五番迄の諸車を組立ててから、鎖を全部ヒュージ一番車に巻き付け、一端を香箱に引掛けたる後、 アンクルを入れて諸車の回転を防ぎ、次に香箱真に鍵を入れて、約半回転位全舞を巻きたる時、香箱真に取り付けられたる万力車にコハゼを入れて止める。 之は鎖が全部解けたる時に、余力を保有せしむる為である。

出典 時計並蓄音機学理技術講義録 大阪時計学院
(大正時代)

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