5. 腕時計の木版版木
大きさが6x4cmと小さい時計店の木版版木ですが、何に使ったのか不明です。 大正末から昭和初期頃の腕時計を細部まで表現していて出来は良く、なかなか雰囲気があります。 お洒落な変わった文字板の腕時計です。
大正末から昭和初期における腕時計の需要
関東大震災の被災も復興の努力により落ち着きを見せてきた頃。 労働力も旺盛となって時計の需要も多くなってきました。 携行用の時計は、まだ懐中時計が利用の中心で、腕時計を持つ人はハイカラ・高級志向の人という部類でした。
腕時計は輸入品、特にスイスものに頼っていましたが、 精工舎製の国産腕時計第一号が大正末に服部時計店から発売されました。 当初は、材料や技術的な問題で保持性が乏しい、寿命が二年持たないなどの批判もあったようですが、 国産化とともに買いやすくなって腕時計の需要はだんだんと拡大し、時計店の広告も腕時計が中心となっていきました。
この服部時計店腕時計カタログには全部で58種類の腕時計が載っていますが、精工舎の製品はひとつあるだけで、 その他はすべて舶来品です。
公務員初任給が75円くらいの時代でしょうか。まさに、ハイカラ・高級志向!