5. 携帯用日時計折りたたみ式「懐中日時計」 明治初期〜中期
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懐中日時計と木版で書かれた題箋付きの柿渋紙のたとうに入った折りたたみ式の紙製日時計です。
外袋(たとう)の横から引き出して二つ折りになっている渋紙で補強された和紙を開くと日時計の盤面が出てきます。
木製(桐)のノモンは台紙に貼ってあり、同封された枕木(保持板)をはさんで自立させます。
真鍮製の小型磁石が入っていて間にはさんで南北を合わせます。
盤面文字板には
「此ノヰ方ハ日ノ當ル所ヘ出シ定規ヘ枕木ヲハサミ磁石ヲ南北ノ線ニ水置スル時ハ定規ノ影ノ當ル所ハ即チ
其時刻ナリ」
とあり、また欄外には
「余ノ日時計ヲ工夫スル数年始メテ○良器ヲ発明セシ○公衆ノ称賛ヲ得タリ依テ勧メニヨリ之レヲ発売スルニ至レリ 指南舎」
・・・・
と書かれています。
このような簡便な日時計は各種あったようです。 時計に縁の無かった人たちはこの様なもので新しい時刻制度の到来と時計を 感じていたのでしょう。