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電池式振子時計

1. HORIZON

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HORIZON

MADE IN JAPAN. メーカー不明

メーカー 製造年代 大きさ 仕様・備考
不明 昭和30年頃 全高45cm、幅27p、8吋ペイント文字板 接点式、単一電池一つで稼働、打方なし

今まではどちらかというとこのジャンルは避けていたのですが、なぜかこの時計とは波長が合ったのか助けてぇ〜という声が聞こえたのか、気まぐれでお迎えいたしました。

電池式の振り子時計は、おおまかに分類するとゼンマイの変わりにモーター駆動するタイプと電磁石の力で振子を動き続けるようにするタイプがあります。 この時計は、後者の電磁石タイプの初期のものです。 後の普及品との違いは、電気回路にトランジスターを使わずに接点式で一時的にコイルに電気を流して永久磁石と反発させ、重力も借りて振子を動かし続ける点です。 電磁石タイプは、ゼンマイ時計とは力の伝わり方が逆です。 どういうことかというと、ゼンマイ時計のトルク伝達はゼンマイ(香箱)→2番車→3番車→4番車→ガンギ車→アンクル→振子 と力が伝達されるのに対して、 この時計では、振子・・・→機械の中真に伝達する車(ゼンマイだと二番車)と全く逆です。 そのため時計を動かすためのエネルギーは非常に小さくて済むためムーブメント全体がビックリするほど小さくて打方もありませんから仕組みがとてもシンプルです。

振子の左右にある左側のバーが永久磁石、右側は単なる真鍮棒のようでなくても動くきがします。 磁石はバー全体でなく一部分のみです、電磁石の反発力と振子の重さの加減でふり幅が変わってくると思うので、 磁石の位置も設計上の重要なポイントな気がします。

電池は単一の乾電池1.5V一本を箱の下の部分にセットします。(写真4) 電池ボックスのようなしっかりとしたケースはなく、プラスとマイナス端子むき出しのところに電池をセットする電池ホルダーですが、 入手したときは液漏れが酷く両端子が完全に朽ち果てていましたので、掛時計の掛金などの部品を使ってそれっぽく再生しました。 電池からの配線は撚り線ではなくすべて単線(1本の太い銅線で構成されているソリッドワイヤー)です。 被覆があちこち劣化していましたので熱収縮ラバー チューブで補修しておきました。

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Movement

電磁コイルが振子側にある

電池からの配線は二重になった背板の中を通っていますので電池時計でありながら、配線が裏側からもまったく見えないようになっています。(写真6は背板を一枚外してある) 今回は電池ホルダーを再生する都合で背板を一枚剥がしましたが、ムーブメントの脱着はうまくやれば背板を剥がさなくても可能です。

電池ホルダーを再生して、機械を洗浄・注油して、配線を修理して、良しこれで動くはず、、と試運転したらまったく動かず、 原因は接点の接触不良にありました。接点をもう一回磨いてちゃんと電流が流れるようになりましたが、 接点式はやはり経年や塵埃や経年の金属表面劣化で接触不良になって止まってしまうのでトランジスター式に切り替わったものと思います。

最後に全体の印象です。 前面のガラスは振子室あたりに模様があって、 模様でバーが隠れるようになっています。そして特徴的な金色の玉だけが左右に振れるのが見えます。 これぞ、ホライゾン!の拘りに見えます。 部品のあちこちに89のシリアルナンバーが書き込まれています。 この時計の仲間はどれだけ残っているのでしょうか。

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