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日巻鐡製置時計

1. 鉄製エナメル目覚 PERFECT TIME-KEEPER 【精工舎】

三拾四號 鉄製エナメル目覚

メーカー 製造開始年 大きさ 仕様・備考
精工舎
SEIKOSHA
明治34年頃 ? 高 六寸五分
幅 六寸八分
文字板 四吋
毎日巻、天府振、ダブルベル目覚付、鐡製黒塗、ペイント文字板

タイム置時計シリーズは、始めに明治35年のカタログに「34号鉄製エナメル目覚」として出現し、 明治40年頃に「タイム置時計鉄製黒塗飾手付、タイム置時計鉄製黒塗、タイム頭丸置時計鉄製黒塗」の3種に発展、 後に上にライオンが乗った「動物付き時打」が加わり大正12年の関東大震災まで生産されました。
米アンソニア等に1800年代後半の鉄側時計を起源とする同様の鉄製で重厚な置時計が多くありますので、 その流れを汲んだものと考えられます。

固定式の手附

この時計は、タイム置時計シリーズの最初期と思われ、 また、製造年代についても、精工舎の金属製置時計(目覚時計)の誕生と同時期ではないかと思われるもので、 たいへん興味深い時計です。

精工舎が時計の完成品として掛時計に次いで、金属製目覚時計の生産を始めたのは、明治32年、或は明治33年とされています。 置時計製造における技術的な特徴として、掛時計と比べてムーブメント(機械)が小さいこと、 また調速機として振り子の代わりにヒゲゼンマイが必要になることがあげられ、 これらは当時の日本の機械加工水準では相当に困難なことでした。

この時計の機械を見てください。地板に精工舎の商標刻印が無く、その後のヘソ形目覚時計の機械と比較して地板の形も若干違います。 また、調速機のテンプはドイツ製のように大きいもので、ヒゲゼンマイは鉄製です。 おそらく、これらはまだ自社で製造が出来なかったので輸入部品を使ったものと思われます。
また、目安のツマミは通常はネジが切ってありますが、この機械は針廻しのツマミと同様に差し込むタイプです。

この時代の精工舎製のヘソ形目覚時計を所有していないので比較できませんが、今後この時代のヘソ目とあわせて、 精工舎の金属製置時計の誕生期の様子を解明していきたいと思います。

機械

三本腕金の大きな天輪と鉄ヒゲ
ダブルベル、打玉には「1」の刻印(意味は不明)

鉄枠に固定された二つの鈴の音色は、高く澄んだイイ音がします。

カタログ図版

明治35年

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