3. 戦後まもなくの頃 昭和22年〜27年
トラッドとモダン
戦後まもなく米国、進駐軍の命令により日本製の輸出製品には占領下の日本製という(MADE IN OCCUPIED JAPAN)マークが
すべてに入れられました。これは1947年〜1952年(昭和22年〜27年)の事です。
時計にも同様な文字が入っていて、時代の生き証人として時代を物語っている貴重な史料でも有ります。
そういった時期の2つの掛時計です。
2つは同じ戦後まもなくの明治時計のものですがそのスタイルには新旧の対比が見れて興味深いものが有ります。
資料1:八吋 No.50
メーカー | 製造年代 | 大きさ | 仕様・備考 |
---|---|---|---|
明治時計株式会社 (名古屋) |
戦後まもなくの頃 | --- | 八日巻機械、MADE IN OCCUPIED JAPAN |
戦前の商品名が戦後はだんだんと商品番号に変わっていきます。
戦前は兵庫尾長と呼ばれたスタイルです。時計の型の分類のページにも書いて有りますが、花魁の髪の後ろの丸い輪を後姿の立兵庫から
八角に丸い輪を回したものを八角ボンボン時計で「兵庫」という名前を付けています。
ボンボンのベストセラースタイルで昭和20年代と思われる明治時計株式会社のカタログには八角尾長ボンボンはこれ一つですから
最後の八角ボンボンと言えるものです。
アルミ文字板クロームメッキ枠、機械は戦後8日巻機械で
明治の商標刻印
が地板左上に入っている。
6時の下に「MADE IN OCCUPIED JAPAN」の文字入り。又振り子窓ガラスにREGULATOR Aの金文字の下に「MADE IN OCCUPIED JAPAN」の文字が
金彩で大きく書いてある珍しいものです。歴史の証人としてエポックメイキングな時計ですね。
英語で書いてあるので余り目立ちませんが?、日本語で「占領下日本製」と書いてあったらかなり気になったものでしょうね。
木製振り竿、昭和20年代後半になると八角尾長ボンボン型のスタイルは時代遅れとなり消滅します。
資料2:七吋 No.720(漆塗り棒玉)
八角ボンボンに変わり昭和初期より流行し始めた小型の箱型のスリゲルタイプのスタイルです。
シンプルでモダンなケースで文字板はアルミペイント文字板で6時の下に「MADE IN OCCUPIED JAPAN」の文字あり。
文字板枠、ガラス枠はクロームメッキの銀色です。
茶褐色塗りケース、山形カットガラスの嵌め込まれた小型の窓をあけるとクロームメッキの筒型の棒振り子が下がっています。
機械は資料1の八角尾長ボンボンと同じ戦後8日巻機械です。
モダンで斬新なスタイルの新しい時代の新製品です。
明治時計株式会社(昭和24年〜)の戦後カタログより
新旧の代表が同じ昭和20年代のカタログに載っていて、時代の変わり目を見るような面白さが有ります。