2. 川崎村時代の大阪時計の特徴(明治25〜29年)
明治25年に移転し大阪時計株式会社に改組されますが地板刻印やラベルは初期と似ています。
機械は二種類存在
- モデルとした米国トーマスの機械をコピーしたもの
刻印は、地板の中心に、上に商標、下にOSAKA CLOCK Co - 円字型地板の普通の機械
刻印は、創業初期と同様に地板の左に商標、右にOSAKA CLOCK Co.
振子室ラベルも幾つか種類がある
- OSAKA CLOCK Co.(OSAKA TOKEI SEIZO KAISHIA※)KAWASAKI OSAKA JAPANと川崎村住所が入ったもの
※「会社」の綴りはKAISHIAとKAISHAとの2種がある - MANUFACTURED BY OSAKA TOKEI SEIZO KABUSHIKI KWAISHA OSAKA JAPAN(川崎村住所記入なし)の株式会社バージョン
文字板
紙文字板が多い。
3. 二十四号 中雲形 川崎村時代(明治25〜29年)
メーカー | 製造年代 | 大きさ | 仕様・備考 |
---|---|---|---|
大阪時計製造株式会社 (西成郡川崎村) |
明治25〜29年 |
高さ二十三吋(58cm) 文字板十一吋 |
八日持、打方付 |
この時計のスタイルは雲形と呼ばれますが国産では他に類例を見ない珍しい外形です。
オリジナルは米国Seth Thomasの1868年に出たOfficeという名前の最初の時計で、
後にカレンダーを含めたOfficeシリーズの中でOffice No.1となった人気モデルです。
本家のOffice No.1は12吋文字板で上下ガラス枠が個々に開かず全体で一枚のドアの様に開きますが、
この大阪時計は文字板は11吋でオーソドックスに上下、別々に個々に開きます。
機械も基本的にトーマスの同型Office No.1の機械のコピーで、トーマスのそれと同様に車を一枚省略して3番車を大きくしています。
機械には、地板真ん中に上に分銅にTの字のトレードマーク、
下にOsaka Clock Coの刻印が有ります。
国産には珍しく、モデルのトーマス同様に巻止め装置が付きますが、修理の時の調整が面倒な為か外されてるものが多く、
この時計もメール車がはずされて巻止めは機能しない状態です。
11吋文字板は紙製で上のほうにManufactured Osaka Clock Co. 下に分銅にTのトレードマークが印刷されています。 オリジナルのトーマスでは文字板は12吋のみで大阪時計のような11吋のスタイルは有りません。 逆に大阪時計には12吋文字板は有りません。
Office No.1の機械と同様の機械
機械全体 |
刻印部分の拡大 |
振子室ラベル
振子とボン針台
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振子はトーマスと同じ形で比較が出来ないくらい良く似たつくりでしっかりしています。 ボン針台は山が捻り菊型になっていてこれは鋲飾りにも見られるデザインで、大阪時計の特徴の一つです。
雲形時計の販売広告
図版雲形は11吋ですが説明文は文字板8吋と有りますので8吋も有ったのでしょうか?
大阪時計カタログより11吋中雲形
中雲形の元祖:Seth Thomas Office No.1
大阪時計の中雲形のモデルになった時計です。 文字板は12吋。(紙に変わっている) 機械にはトーマスの商標とS.THOMAS THOMASTON CONN USAと刻印あり。 やはり巻止装置が外されています。 ケース表面にはロ−ズウッドの皮が張られていてドアは一体となって開きます。 上の木製の飾り鋲が一つ欠損しています。
※この時計は特別編集セス・トーマスのコーナーに詳細がありますのでご覧ください。