3. 大スリゲル時打分銅引置時計(MORBIER CLOCKS)
製造国 | 製造年代 | 大きさ | 主な仕様 |
---|---|---|---|
機械フランス製、箱国産 | 明治時代 | 高 2m36cm |
琺瑯文字板12吋 センターセコンド ピンホイール脱進機 鐘打 |
フランス製のモービエクロックの機械を国産のケースに入れて国内で販売された置型スリゲルです。
文字板にはJ.COLOMB&Coの銘入り。これはファーブルブラントと同じように機械を輸入したスイス商館の名前(コロン商会)で、
メーカー名では有りません。広義の意味でこれらも商館貿易時代の代表で商館時計といえるでしょう。
日本の箱師(指物師)によって何れも外国製のデザインの影響を受けながらも日本人好みのケースに仕上げて有ります。
このようなロクロ細工と総彫は一つの日本製ケースの典型です。このケースは杉材が多用されています。
黒漆仕上げで経年により色あせてはいますが破風の鳳凰飾の鳳凰の眼は金色に輝いていますので、
部分的には金彩が施されていたようです。
同類はファーブルのが谷中の大名時計博物館に有りますが破風の格好が少し違います。
こちらはやはり服部時計店営業一覧明治35年版、図二にある
「F貮號大スリゲル時打分銅引置時計」エト大サ十二吋高サ七尺八寸(甲八十円)とそっくりです。
あえて言えば台座の前板の切欠と破風飾の鳳凰の向きが逆でしょうか。
モービエクロックは一品つくりの家具のようなケースですから二つと同じケースが無いと言われてますが、
これほど似てるのは珍しいですね。
またカタログに有る現物の発見も初めてではないでしょうか?伝承地の明らかな北国の旧家の所蔵品でした。
機械はフランス特有なピンホイール脱進機でセンタースイープセコンドが小気味よく飛んでいきます。
お決まりの毎正時と2分後の追い打及び30分にも鐘を打ちます。
振子は文字板の裏から、分銅は振子の後に下がるのもモービエクロックの定番です。
鉄の受けと真鍮の歯車、独特の振子の吊り下げ方や受けの足の二股に分かれた形、ピンホイール脱進機などの特徴が写真から見えます。
ロクロ細工と総彫の国産箱 |
J.COLOMB&Co の文字板 12吋 |
機械 正面 |
機械 横 |