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大時計・ホールクロック

2. 機械的な特徴

機械的な特徴は19世紀初期までは冠型脱進機を使っていますが、日本に入ってきた頃には殆んどアンクルないしはフランス特有の ピンホイール脱進機が使われています。
振子は文字板のすぐ後(機械の前面)に下がり、その後に分銅が下がります。
クランクで鍵穴から分銅を巻き上げます。
打ち方は縦型のラックが直線的に下に落ちるタイプのラック式の本打ちで基本的には上に付いた鐘を打ちます(鐘打ち)。 15分打ちをするものは鐘の数が2〜4個になります。末期にはボンボンのように機械の後についた渦巻きゴングを打ちます。 (ボンボン打ち)
特にこのモービエクロックの打ち方の特徴は毎正時の時打ちの2分後にもう一度同じ数を追い打ちします。 追い打ちの大時計を聞いたらMORBIER CLOCKを疑えです。(笑)

同種の大時計の機械

ファブルのタイプの大時計のある
豊原国周の開花錦絵

左上の写真は、同種の大時計の機械、珍しい小秒針、カレンダー付き、15分打ちの機械です。 アンクル脱進機、鐘二個、基本的には全てこのような機械です。

右は「見立昼夜 二十四時之内 午前一時」豊原国周の開花錦絵です。 怪しげな女性が手燭を掲げた先に大時計が一時を指している・・という図柄ですが、間違いなくファブルのタイプの大時計であり、 比較的正確に外観を描写しています。
振子の後に見える分銅引きのロープも的確です。ただ分銅を巻き上げる鍵穴を描き忘れているのがご愛嬌です。 背景の中に小さく大時計が描かれた例は有りますが、これだけ大きく大時計を主人公に描いた開花錦絵は有りません。 その点資料的にも大変貴重な物と思いますが・・出来れば、女性はもっと美人をお願いしたいところです・・・が、 明治時代はこの女性が美人の典型だったのかもしれません。

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