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大時計・ホールクロック

1. ファブルやコロンが輸入販売したモービエクロック

分銅引き大時計

ファブルブラント

全長210cm
機械フランス製アンクル
打ち方ボンボン打ち>
欅の素晴らしい杢を使った日本製らしい箱
文字板琺瑯10吋

J.COLOMB & Co

全長230cm
機械フランス製アンクル
打ち方鐘
黒塗りながら総彫の日本製らしい箱
文字板12吋

ファブルブラントの文字板 10吋

コロンの文字板 12吋

明治期ファブルブラント商会は主に時計では懐中時計の輸入に力を入れていましたが、一方で少なからずの大時計(ホールクロック)を輸入販売しています。 この分銅引きの大時計は琺瑯文字板にFAVRE BRANDTやJ.COLOMB&Coなどの名前が入っているものが多いためファブルの大時計、 コロンの大時計などと呼ばれています。 特にこのファブルとコロンの両商館が多く輸入したらしく、文字板に無名のものも有りますがこれ以外の名前も余り見かけません。

この大時計は正確の意味のファブル製では有りません。(ファブルが輸入販売したという事)またスリゲルと呼ばれる長四角の 掛時計に似ているため外観から置形スリゲル、置スリゲル、置スリ(スル)などとも言われました。
この大時計の機械は所謂ポステッドムーブメントと呼ばれる4本柱の鉄枠の中に手際よくまとめられたシンプルな堅牢な機械で、 フランスのスイス国境地帯のMORBIER地方一帯で作られたためMORBIER CLOCKSと呼ばれています。 (メーカーはあまり知られていません)
また、ジュラ山脈沿いのこの地域は古い歴史のFranche-Comte地方とも呼ばれているためComtoise Clocks(コムトワーズ クロック) という名前でも知られています。
この機械は18世紀から20世紀初頭まで似たような機械が造り続けられて来て、 世界中同様に機械だけ輸出され、外箱はその国、その地方のキャビネットメーカーが独自のその国好みの箱を作っていました。

下の画像は昭和初期のカタログ図版です。「置スル」と「置スリ」が確認できます。 なお、置スリのカタログ図版の時計自体はユンハンス社の輸入品や国産の大時計で、モービエクロックの大時計では有りません。

置スル

置スリ

日本独自の時計文化を引きずった大時計

日本に於いても、フランス製の機械だけがファブル等によって輸入され、日本の箱師によって日本人好みの外箱が作られています。 それらは多種多様な日本デザインの個性的な時計に仕上がり、和洋折衷の大変素晴らしい大時計となって残されています。 これらの和洋折衷の大時計はその後完成品として輸入された、ドイツ製やイギリス製の大時計、或いは最近アンティ−クとして 輸入された大時計とは、その歴史的過程と評価が全く違う、日本独自の時計文化を引きずった時計として大いに認識を新たにしていただきたいと思います。

これらの大時計はもちろん絶対数は少ないですが、その大きさ故に捨てられる事が少なく、邪魔になっても蔵や部屋の片隅に残されている事が多く現存率は高いです。 発見のポイントは、明治からの旧家、或いは明治よりの古い老舗の時計店などでしょうか。 堅牢な機械であるため殆んどの物が現役復帰可能ということもあり、 こういった貴重な大時計を見かけたら是非救出して頂きたいと思います。

また、時計屋さんの看板時計(標準時計)がどのような物かでその店の古さと貫禄が分かります。 分銅引きの時代から、少し時代が下がるとアンソニアなどのアメリカ製の機械を入れたゼンマイ引きの大時計が看板時計になっています。 古くからの時計屋さんがあれば、時計の修理をお願いする際にでも看板時計の話を聞けたらいいですね。

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