4. 小槌 【服部時計店】
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メーカー | 製造年代 | 大きさ | 仕様・備考 |
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精工舎 SEIKOSHA |
大正 |
長さ 17cm 文字板2吋 |
八日巻ビー機械 、銀製、三越刻印 |
精工舎のカタログでは未確認の銀製ケースに入った置時計です。 精工舎2吋8日巻ビー機械の入った古槌型の縁起もの置時計です。 カタログではまだ未発見のものですがケースに銀製と○に越のマーク、三越の刻印が入っているので三越特製の置時計かも知れません。 銀製のケースに木目と唐草模様が彫刻され一部金メッキ(金箔押し)された高級感あふれる仕上げです。 小槌の足には前に蔵の鍵、後が分銅、裏ぶたのつまみが丁子、ふたが宝珠の模様がレリーフされてなかなか良くできた宝ずくしデザインです。
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アイテムの紹介
小槌時計に使われた宝ずくしのアイテムをご紹介します。
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小槌
福の神、大黒天の持ち物で打てば希望のものが得れたり、邪悪なものを打つということで縁起ものして使われる。 -
蔵の鍵
土蔵は富の象徴でその戸を守るカギは縁起ものとされた。 -
分銅
秤の重りとして使われた分銅ですが、両替商のシンボルとしてもデザインされ、 その為現在の地図の銀行のマークになっています。 金銀を分銅の形に鋳込んで非常時に使われた故事から貯蓄や貯金のイメージからお宝としてとらえられています。 -
丁子
東南アジア、インドネシアモルッカ群島原産のグローブ(ふともも科の植物)で香辛料など、古くから生薬、薫香、 防腐剤として各方面で使われてきた。その形が釘状なので同音の丁の字をあてて丁子、丁香と名ずけられた。 -
宝珠
頭部がとがり、その左右両側から火炎が燃え上がっている状態にかたどった玉。如意宝珠を表したもの。 願い事を何でもかなえる神秘的な宝物と言われています。
特注の誂え置時計?
カタログにない?変わり時計のヒントは下の服部時計店の「銀器2」のカタログに有りそうです。 というのは服部時計店は少なからずの金や銀器を製作販売しており、置物から花器、煙草道具、金杯銀杯など 装飾品に至るまで各種の金銀細工物を扱っていました。その大正10年8月のカタログですが、 ここの置物にも「古槌に鼠置物」というデザインが有り、古槌に鼠が乗っかった定番です。 図版のように木製台座が有ったものかも知れません。 またこのカタログ中には「御記念特別御誂置時計」というページが有ってカタログには未載の特殊な注文品の例が載っています。 潜水艦であったり、衝立で有ったり、油井であったりと、魅力的なカタログでは見れない特注品が並んでいます。 あるいはこの古槌もこのような(三越)特注の誂え置時計であった可能性が大きいようです。 カタログの「上記の外如何様なる種類にても仰せ次第図案作成仕りご用命承り可申候」とこの辺の事情を物語っています。
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※ 追加情報
昭和七年の「花瓶 置物 50号 服部時計店」のカタログに掲載されていると情報をいただきました。
正式名称は、「小槌」で、銀製色絵彫刻赤絹房付とありますので、赤い絹製の房が付いていました。
大きさは2種類あります。No.150 2吋文字板 塗台は巾一尺で49円、No.152 2吋半文字板 塗台巾一尺三寸で72円。