11. 懐中時計柄シルクラベル 明治
シルクラベル 山武組座繰(上総の国山武郡−千葉県)
国産輸出用生糸に付けられたラベルで商館時計のような懐中時計商標がデザインされています。
幕末の開国以降、欧米各国と通商条約を結び横浜は貿易の拠点となり維新後の富国強兵、殖産興業にも大きく寄与しました。
この横浜の貿易の首位を戦前まで独占してきたのが生糸でした。特に明治以降養蚕農家と製糸工場が全国に広がり
外貨獲得に大きな役割を果たしました。
輸出生糸にはこのようなラベルが貼られそれぞれの生産者名、生産地、座繰りか機械製かの区別、
春糸か秋糸かの違いがカラフルな絵と共に描かれています。
日本を代表する産物のためラベルデザインにもユニークなグッドデザインのものが多く、
製品と日本をアピールする手段としてメーカーの意気込みが伝わってきます。
当時の生糸は今の自動車や電気製品のようなものだったのでしょうが忘れられた歴史の一断面ですね。
座繰り
江戸時代からの製糸法で座繰りと呼ばれる糸車を使って繭から複数の糸を手繰り寄せ一本にまとめ、 回転する小粋(糸車)に生糸を巻き取ります。 座繰りは糸を引っ張らない為、糸を痛めず繭本来の弾力がある軽く艶やかな糸ができるそうですが 明治以降工場製糸の機械製糸に変わっていきます。しかし現在でも一部ではその伝統技術が伝承されているそうです。