1. 京都時計 概略
明治23年10月に設立された京都時計製造会社は国内時計製造会社のパイオニアの一人である。
当時、時計工場の動力としては、人力・水車・蒸気機関などが使われていたが、
京都時計製造会社は国内時計産業で初めて動力として電力を使用している。
2. 十吋花(初期)
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メーカー | 製造年代 | 大きさ | 仕様・備考 |
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京都時計製造株式会社 (京都市上京区富小路) |
明治25年 | 文字板十吋 | 八日持、打方付、ペイント文字板(補筆あり) |
文字板は10吋ペイント文字板で、5星にアルファベットのようなマークの商標マークがあります。 オリジナルですが補筆(書きなぞって加筆)がされていますので不明瞭です。左右の鍵穴の間にEight Dayの花文字入り。
機械には「25☆24」の刻印があります。
刻印の数字の意味は、左は年号で右は製造に関る数字と言われています。
それからするとこの時計の製造年代は明治25年製と言う事になります。
真中の☆(星印)は古いものに付いているらしく、その形は明治24年10月に制定された京都市のき章から取られており、
「京」の字を図案化したものです。現在も京都の紋章に受け継がれています。
星の形は5星と6星の二種が存在しますが、5星のほうが古いようです。
刻印はこれくらいにして、次に機械の特徴ですが数取車が下に付いています。
上に付いている機械も有り、製造年度と関連が有りそうですが、刻印の数字の年代の判定も含めて今ひとつ考証が必要な感じです。
巻止装置が付いていましたが外されています。ボン針台には刻印はありません。
次に振子室のラベルです。黒地に金文字で以下のように印刷されています。
EIGHT・DAYS
OCTAGON,PENDURUM
CLOCKS,
MANUFACTURED BY THE
CLOCK MANUFACTURING COMPANY
KYOTO, JAPAN.
明治28年以降は背面に
内国博の受賞メダルラベル
が付きますが、この時計にはラベルの有った跡も有りませんので
それ以前のものと考えられます。時代を京都時計の変遷と照らし合わせると京都時計製造株式会社時代の初期のものと言えそうです。
ガラス絵の色は剥落して痕跡だけになっていますが、全体が花模様だったようです。
機械と振子室ラベル
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振子と巻き鍵
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振子の裏には「No.5」の浮き出し文字が有り、同じく「5」という数字が巻き鍵にもケガキしてあります。 両方ともオリジナルのようです。