1. 蛎殻町時計工場 概略
新居常七(初代)は日本橋本石町の時計商大野徳三郎と共同出資で一早く同区蛎殻町三丁目に国産掛時計工場を設立。 この工場は後に大野が半分の権利を譲渡して新居個人の経営と成った。
工場の設立期は諸説が有るが、実際の時計製造は明治16〜24年頃が活動期であったと推測される。
2. 十吋本四ツ丸
メーカー | 製造年代 | 大きさ | 仕様・備考 |
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蛎殻町時計工場 (東京市日本橋) |
明治10年代後期〜20年代初期 | ペイント文字板十吋 |
八日巻き機械 「629」の刻印入り機械 |
蛎殻町時計工場製の本四ツ丸です。大変珍品です。
振子窓の八角の金彩は蛎殻町時計工場のトレードマークです。
機械に同じく八角マークと629の刻印あり。また箱背面に八角と629のマークあり。
数字は製造番号と思われます。
機械はセストーマスをコピーしたもので2,3番車に溝入り。
元々はトーマスのように巻止めが付いていた痕跡があります。ボン針台には刻印なし。
ラベルには黒地金彩でCLOCK MANUEACTORY 八角マーク、KAKIGARACHO-TOKIO JAPAN
と有り。(面白いことに、MANUFACTORYのFをEにミスプリントしています)
文字板10吋、文字板枠は木製金彩(金属製では無い)で紙文字板はオリジナルでない模様。
だいぶ黒ずんでいますが元々は金4つ丸だったようです。
背面
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側のつくりは曲げワッパのような手法で薄い板を円形に曲げてあります。 色々と手工業的な雰囲気を感じさせる作りです。
セストーマスをコピーした機械
振子と巻き鍵
巻き鍵がオリジナルであるかは不明です。