3. クロノメーターの構造
クロノメーターは他の時計同様に、動力系、伝達系、調節系及び指示系の4部から出来ている。 而してクロノメーターの特質は、脱進機、天府、及びひげである。
現在のクロノメーターは殆ど総てが2日捲で、輪列は次の如くなっている。(図901・2 及 902 参照)
鎖引が 8 3/4回転する、大車と中心車は90の歯を持つ。 3番車と4番車とは80の歯を持つ。 中心カナは14歯、3番カナは12歯、4番カナとガンギカナは10歯。 従って天府は1時間に14,400、1秒間に4つ、而してガンギ車は1打隔きに進むから秒針は半秒毎に進むのである。
天府真は上地板の上と下とにねぢ込まれた天真受けによって支えられている。
4番カナは文字板を通過して、秒針を持つ長い軸受を備えている。
全機械は重い真鍮函に入れ、硝子縁と硝子とがねぢ込まれている。 又天府を防禦するために、捲真には大きな管をねぢ込み、キーを入れるために真鍮函の孔まで延びている。
機械は木箱に収められ、文字板が常に水平になる様になっている。 そのために、真鍮製の輪を木箱に軸止めし、その輪の内側に真鍮函が軸止めされ、両者は直角な直径上で動くことが出来る様になっている。 而して木箱の半分は蓋で、時計を見るときには蓋を起こして開く様になっている。
「時計学」昭和19年 青木保著 より引用