1. 鉄枠ペイントの補修
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国産置き時計の創生期の製品です。 ウィークポイントは鉄側の錆。特に足周りから塗装が大きな破片となって剥離してきます。 機械も動きません。修理に日数の掛かる側のペイント剥がれから補修を開始します。
ペイント剥離と錆落とし
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浮き上がったペイントを剥がす
写真のように浮き上がったものは、どうにもなりませんので剥がしてしまいます。ちょっと名残惜しいですが仕方ありません。
耐水のサンドペーパーで錆を落とす
#400〜#800くらいのペーパーで、下地を馴らし粗方の錆を取ります。 オリジナルのペイントは下地に茶色のパテのようなものが入っているので、ペイントの残った部分と無い部分の段差が大きくなります。 角が無い程度にペーパーで馴らしておきます。
下塗り塗料を用意
錆の再発を防止するため、露出した鉄肌に錆止め塗料を塗ります。 がっ、手元に無いため、ここではオートバイのメンテナンスに使用している赤サビ転換防錆剤で代用します。 赤錆を黒くして錆防止の皮膜を作る転換剤です。 ホームセンターの自動車修理のケミカルコーナーに何種類かあります。
新たに購入する場合は、錆止め塗料をおすすめします。 錆止め塗料は乾燥に時間がかかりますが、値段が安く、肉厚の下地が作れるため、 その後の上塗りが楽です。
下塗り塗料を刷毛で塗る
防錆転換剤を鉄の地金が露出した部分に刷毛塗ります。すぐに黒くなってきます。硬化時間は季節によりますが一時間程度でしょうか。 錆止め塗料の場合は、乾燥に半日以上かかると思います。 あわてずに乾燥を待ちます。
合成漆塗料を塗る
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下塗り塗料が乾燥しました
化学変化で真っ黒になりました。多少の接着力も期待できるため、オリジナルペイントの浮きを押さえる効果も期待してペイントの縁にかけて塗りました。
合成漆塗料を用意します
下塗りを赤サビ転換防錆剤だけでごまかしたため、かなりの段差が出来たままです。 本来はパテをあてたいところですが、少量のパテを買うのも面倒なので上塗料の塗り重ねで頑張ることにします。 使用する塗料はカシュー塗料。漆に似た性質を持ち、肉持ちがあり、艶有りタイプは光沢あふれ一見漆と見分けがつかないくらいです。 ”カシューナッツ”の殻から搾りだした油が原料の塗料です。
一度目のペイント
手元に黒(艶有)と黒艶消の二つの在庫があるので、まずは黒艶消を塗りました。 一度塗って乾燥途中の状態です。まだかなり段差がありますね。色合いもオリジナルとちょっと差があります。 オリジナル部分は赤茶色のパテの上に黒塗装してあり、黒塗装が経年劣化で透けているので、茶の混じった微妙な色合いです。 これに似せるのは、んー難しい〜 もうちょっとなんとか・・・と期待して、次からは黒艶消と黒(艶有)をブレンドして使ってみます。
幾度目かのペイント後
塗っては乾かし、を繰り替えしてだいたい平らになりました。 ややゴツゴツしていますが、オリジナルペイント部分は100年以上経過してそれなりの状態ですから、 多少のゴツゴツは調和するだろう・・・まあ、良しと妥協します。 新しく塗った部分は、ピカピカに輝いています。艶消より黒(艶有)のほうが我が強い?(笑) 完全に乾いてから艶を消す作業に入ります。
ペイント補修完了
#1200のペーパーで表面を満遍なく慣らし、その後自動車の塗装に使う半練のコンパウンドで表面を整えました。 錆のひどかった横は、まあまあのボケ(くすみ)具合で補修できました。
一方、前面の右下部分は、塗装は平らに綺麗に塗れたものの、どうしても色合いがオリジナルの塗装と合わず、 ちょっと不満足な仕上がりです。まあ当初のペイントが剥がれた状態よりは遥かに良好!と納得することにして、 これで完了とします。