2. 意匠権と商標権
意匠登録(意匠権)
意匠権は物品の斬新なデザインが保護対象となる。 工業生産品に利用できること、オリジナリティのあることなどが要件となっている。 広義でのデザインという言葉は漠然としているが、形状に結びつく模様や色彩も保護対象となる。 特許権や実用新案権が、方法やシステム、工夫を保護対象としていたのに対して、意匠権は物の印象を決定づけるのに 大きな役割を果たすデザイン自体を保護対象としている。
時計では明治後期頃から精工舎がユンハンス写しの新製品の掛時計を意匠登録しているが、そもそも写しを意匠登録していること、 また、意匠登録しているのに名古屋ものにそっくりな時計が存在していたりしてどこまで意味があったのか謎である。
登録商標(商標権)
掛時計の文字板の ”TRADE ● MARK”
この●の部分のマークや懐中時計の裏蓋にある例えは精工舎の場合の”扇にSKS”などが商標である。
この商標は製品・企業イメージを高めることにも、大いに役立っており、 アンティークの時計の世界では、その物の善し悪しを判断する際に重要なポイントになっている。
商標権は自分の製品やサービスを他者のそれと区別するために付けられる名前、マークなどが保護対象となる。 かな文字・ローマ字1文字の商標は原則的には登録できない。 また、国旗を模したものや公序良俗に反するマークなども同様に登録できない。 特許権、実用新案権、意匠権及び商標権の総称が「産業財産権」だが、これには存続期間が定められている。 商標権だけは例外的に更新が認められている。 それは商標が1製品にとどまらず、その所有する者の経済活動すべてに係るシンボルだから・・・ということのようだが、 例えば林時計などは経営者や会社が何度も変わりながら同じ商標を何度も再登録して使用していた。