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JUNGHANS(ユンハンス)

1. 黒柿総彫スリゲル

1890年以降の商標

メーカー 製造年代 大きさ 仕様・備考
ユンハンス
(ドイツ)
明治期 全高92cm
琺瑯文字板5.5吋
破風飾り鳳凰

日本版ユンハンス!?

ユンハンスのスリゲルは本国では各種のスタイルのスリゲルをRegulateure(Regulator)の名前で呼んでいます。 特に日本では三尺スリゲルと呼ばれる小型スリゲルがたくさん入って来ています。

明治初期においては本国仕様の直輸入版もあったのでしょうがこれらの時計が普及する明治中期〜後期には ユンハンスの機械を国産の箱に入れたものがスタイルの中心になります。 当時の輸入関税の影響もあったようですが、本国仕様の大変ごつく大きい箱や異国趣味のデザインは日本の家屋に合わないこともあり、 分銅引スリゲル同様、日本の家屋のサイズやデザインに合わせた箱を国内で作り、 機械だけユンハンスのものを入れて和洋折衷の独特のスタイルを作り上げました。 これらは黒柿などの日本人好みの材料が多用されています。

近年アンティークとして入ってくるビッグサイズ、本国仕様ユンハンスのスリゲルと明治期日本で組み合わされた ユンハンスのスリゲルはおのずからそのスタイルの発想が違いますので、ぜひユンハンスのスリゲルを見る時には 鑑別してみてください。 日本の時計文化を引きずった日本産まれのユンハンススリゲルは魅力的です。

この時計は、全高92cm、琺瑯文字板5.5吋、破風飾り鳳凰、扉の周りと内側に彫りの入ったタイプです。 扉の内側の彫は黒柿ではなく黒塗で、機械は二本掛けと呼ばれる幅広アームの振子の付いたタイプの機械。 一本掛けのタイプの機械よりこちらの方が少し若いといわれています。

破風飾りについて

スリゲルは箱の上の部分を破風、下の部分を上戸と呼んでます。この時計の破風飾りは鳳凰です。
下の写真は、破風の上に乗っかってる鳳凰です。一刀彫ではなく手羽の部分が別に貼り付けて有ります。 (全て古いものは同様です)この他、鳳凰の頭の部分も別に貼ってあるのも有りますが、総じて彫は浅くレリーフに 毛の生えた程度の彫です。裏から板を釘打ちして、ベロ状の板を破風の頭裏に差し込むようになっています。 破風の左右にギボシの付くタイプと付かないタイプが有り、こちらはギボシの付かないタイプで鳳凰の左右の裾が その分広がっています。(ギボシの付く隙間がない) 扉の中の総彫と同じく黒塗り、まれに黒柿のものも有ります。
破風飾りはこの鳳凰のほか花のタイプや変形もいろいろ有りますが、鳳凰が一番少ないようです。

上が表、下が裏。

当時のカタログ

ドイツ国内カタログ図版

これら↓の時計と似たようなデザインの時計をドイツ国内の多くのメーカーがミニチュアサイズから大形分銅引きまで生産しています。
日本での販売商社はこういったものを参考にコピーしながら外箱のスタイルを日本仕様のデザインに改良し、 国内で組立て販売していったのです。国内メーカーも同様です。

ユンハンス本国のカタログより

1900年頃

レンツキルヒ本国カタログより

1883年

日本国内のユンハンスカタログ

本品は米国アンソニヤ会社及び獨乙国Jマーク会社の製品にして外観頗る高雅にして優美なる彫刻装飾を施したれば座敷用或は 高尚なる店舗用として絶妙の時計なり
時支は紙製、陶製、金属製の三種ありて機械にも八日捲、十五日捲の両種有りて何れも堅牢にして毎時及び三十分を静温(静穏?) なる音を以って報ず
(右下、家邊徳時計舗商品録の説明文)

堀米商舗新品録より

明治42年3月

ユンハンスの商品カタログより

明治42年1月家邊徳時計舗商品録

以下は同じような図版を使っている所が興味深いです。 図版の2台のゼンマイ引スリゲルは精工舎のものに似ていますが精工舎のスリゲルは 明治35年からと言われていていますので何処の時計(機械)かは不明です。
二週間保・・とあるのはユンハンスタイプのスリゲルと思われます。

天賞堂営業一覧より

明治33年5月

吉沼商店営業要覧より

明治34年4月

明治22年11月カタログより、「センマイ引スリギル」

以下の資料は、明治22年11月の田中時計舗時計定価一覧表からの抜粋です。
この時代にはまだ国産のスリゲルは出現していませんので、標題も「各国掛時計置時計の部」で扱っていた時計はすべて舶来である ことがわかります。
「大スリギル掛時計及置時計」とはファーブルブラントやコロンのタイプのモービエクロックの大時計の事で 「三尺スリギル掛時計」が分銅引きのスリゲル「センマイ引スリギル」がユンハンスなどの2週間巻ゼンマイ引きスリゲルの事と 思われます。

田中時計舗時計定価一覧表より

明治22年11月版 「各国掛時計置時計の部」におけるカタログ目録

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