1. 中三針打方付き
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メーカー | 製造年代 | 大きさ | 仕様・備考 |
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高野精密工業株式会社(名古屋市) | 昭和33年4月購入 | 全高41.5cm、文字板7吋 | 8日巻出車式中三針、打方付、プラスチック文字板、二本棒鈴 |
高野精密工業は昭和20年5月の空襲で本社の笠寺工場を焼失、焼け残った岡崎工場で12月に時計製造を再開するもののしばらくは製造だけでは収益があがりませんでしたが、 昭和29年秋には笠寺新工場を竣工、昭和31年には腕時計の生産を計画、翌31年にはタカノの腕時計第一号を発売に至ります。
クロックについては昭和33年4月12日から27日にかけて開かれた日本国際見本市において電池モーター駆動振子式掛時計を数種類展示し「国産電池時計メーカーの一翼を担う」と大いに気を吐くようになっていきます。 電池式になるとクロックも中三針が主流になっていきましたが、そんな背景からかこの時計はゼンマイ式でありながら、中三針で秒針が真ん中にあります。 しかしながら、中三針を実現した機構は岐阜の日本時計製のように本格的なものではなく、戦後も間もなくの頃のウオッチが採用していたような出車式であり、云わば「なんちゃって中三針」です。
高野のこの中三針掛時計は、打方の無い小型のチープなタイプと、この時計のように打方のついたものと二種類があります。 打方付のほうが高級仕様です。文字板は合板をベースにして外周の白いインデックス部分にはプラスチックを重ねています。
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機械は文字板裏側に中央の秒針を駆動させるための出車をつけています。(写真8を参照) 秒針の軸は機械を貫通しているため長くこれを曲げてしまうと手で真っすぐに修正することは困難なので分解時は取り扱いに注意してください。 また、普通の秒針と違い差し込みではなくネジです。 秒針を取り外す際は時計の進行方向と反対に秒針を回します。一般的な剣抜きで無理に引っ張ると秒針を破損しますので、この点も注意です。(写真9,10を参照)
当時のカタログより
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日本国際見本市の様子
昭和33年4月に開催された日本国際見本市には、昭和32年第9回国産時計審査表彰式において通商産業大臣賞を受賞した電池モーター駆動式掛時計が展示されています。 折しも、同年月に結婚記念の品として贈られたこの時計は残念ながら展示ブースの写真には見当たりません。