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尾張時計

1. 尾張時計 概略

明治27年 三輪嘉兵衛、近藤太兵衛、佳田安之助、今井藤吉等によって尾張時計製造合資会社を創設、 洲崎橋畔に工場を設けてボンボン時計製造を始めるが翌28年に6月下笹島町に移転。
明治39年5月に資本金10万円で株式会社に改組して尾張時計株式会社になる。
掛時計の他には、時計の機械を流用した蝿取器が有名、昭和になると観賞用置時計「金魚時計」なども販売した。

2. 六吋小縄丸長

地球馬印の商標

メーカー 製造年代 大きさ 仕様・備考
尾張時計製造合資会社(名古屋) 明治30年代後半 文字板六吋
全高46cm
十日持 打方付
ペイント文字板

箱から丸い頭の部分だけが外れる特殊な構造

六吋小型文字板、丸尾長に外周に黒で縄目をつけた粋で可愛い小型ボンボンです。
特に面白いのが機械の納まり方。
文字板を外して機械を取り出そうとしても、機械が大きすぎて文字板口からは出せません? 9時と3時の位置に止めてある木ネジを取ると、箱から丸い頭の部分だけが外れてきます。 名古屋ものは6吋専用の小型の機械が少ないので8吋の普通の機械を流用する事が多くありましたが、その場合6吋箱には機械が大きすぎて 入りずらくなりますので、箱をスリム化するために頭を外すという究極の手法を採ったと思われます。
このような六吋で頭の外れる構造のケースは、名古屋ものではこの小縄丸長だけでなく八角にも存在し、 他に精工舎製品でも同様の構造のものが確認されています。
機械には尾張の地球馬の刻印あり。

箱裏には組合シールの残欠が有りますがシールの大きさはおおよそ10x8cm以上もあり、これも今まで見た中では一番大きいシールです。 どうやら組合シールは古いほど大きいようですので愛知県時計製造同業組合が成立した明治36年以降の初期のシールではないでしょうか。

10x8cmの一番大きな組合シール

振子室ラベル

振り子室ラベルは、最後の社名の部分が、"OWARI CLOCK"でなく"WATCH"となっていますが理由は不明です。 &Co は合資会社の事と思われます。

IMPERIAL QUALITY
TRADE (地球馬印) MARK
KEEP THE WHILE TEN DAYS AT ONCE
HORSE MARK
WATCHES & CLOCKS
Manufactured by
THE OWARI WATCH & Co

明治30年代の輸出用カタログより

6吋は八角しか有りませんが振子室のガラス絵の文字などが参考になります。
UMAINは 馬IN(UMAIN) の事か?・・・UMAINの文字入りは尾張時計に断定できるようです。

六吋八角カタログ図版

カタログ表紙

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