TIMEKEEPERのバナー

村松時計 PRINCE (プリンス)

1. PRINCE 16型

PRINCE

PRINCE

16型

メーカー 製造開始年 大きさ 主な仕様
合資会社村松時計製作所
(東京)
大正末〜昭和初期 16型 4石、チラネジ付丸テンプ、 ケースNoは211**(5桁)、 平板瀬戸引き文字板

パシフィックを製造した甲野時計製作所を銀座の時計商村松恵一氏が買収し、合資会社村松時計製造所として発足させて、 パシフィックと同様にスイスのタバンをモデルとした懐中時計を製造した。

スリーゲル石井氏の調査によるとチラ捻子付き丸テンプと、チラ捻子付き風にした打ち抜き丸テンプの2種類があり、 ムーブメントの形態は4種類が確認出来ているそうです。 文字板は瀬戸エトと金属があります。

参考文献:日本の懐中時計

CHRONOMETER PRINCE

CHRONOMETER PRINCE

16型

文字板に "CHRONOMETER" とあるタイプ。 裏蓋内部には、"18K HARI" , "PLATININ" とシリアルナンバーの刻印があります。

中央気象台の品質保証を取得

その昔、クロノメーターの時計技術が海上交通の安全に欠かせなかったことはご存じの通りですが、 第一次世界大戦後の海難増加を契機として 大正9年に気象台、大正10年には東京天文台の業務に時計の検定が追加されました。 懐中時計の分野でいち早く中央気象台の検定のお墨付きを得て販売したのが、このプリンスクロノメーターとされています。 検定内容の詳細はわかりませんが、当時の国産懐中時計の技術レベルからすると合格ラインは日差では20秒以内程度ではないかと思います。 このプリンスクロノメーターが国産品で唯一検定をパスする品質であったということではなく、 検定証添付は後発メーカーとしての販売促進策の一環と理解したほうが良いと思います。

プリンス会社製中央気象台検定証付
十六型高級提時計優美サック入

辰巳商報 大正十五年五月号 より

当時の通販の広告をご覧ください。 「中央気象台検定証付」とあります。 市販の時計に添付された検定証の記載内容は、以下の記載で共通しています。 市販の個体毎に気象台の検定を受けたのではなく、 出来の良い個体を検定に通して、その検定証を市販の時計に添付していたようです。

当時の広告

大阪市南区長堀橋一丁目 保険堂商報

昭和7年7月号

大阪市南順慶町四丁目 日本堂商報

昭和初期

精工舎のエンパイヤより三割くらい安い価格で販売されていたようです。

PR


本記事はこの頁だけです。