5. 銅版染付時計小皿
銅版染付時計小皿 その1
銅版転写絵付け径12.7cm、明治 |
伊万里焼か? |
明治以降の印版と呼ばれる染付け技法のもうひとつの代表はこの銅版転写絵付けです。
明治初期の型紙摺り絵から中期に登場したこの銅版転写絵付けが後期以降入れ替わるように発展していきます。
銅板転写とは、銅版(エッチング)で薄い転写紙に印刷された文様を器の表面に水刷けで転写し、絵付けをして焼き上げたものです。
銅版の為、大変細かな図柄が手軽に、大量に再現できるため印版の主流になり色絵も登場します。
この小皿も銅版の繊細な絵付けで中央に時計の文字板を正確に描いています。
いずれボンボン時計の文字板と思われ、時計が御所車や水車の様なデザインにも見えます。
周囲は捻り文と呼ばれる地に青海波や麻の葉などの文様と窓絵風に四季の花を薄めの藍の色で散りばめたなかなか格調高い仕上がりです。
器形も薄く上手の皿であるいは伊万里焼かも知れません。
銅版染付時計小皿 その2
銅版八角時計小皿 |
瀬戸か美濃製 |
銅版転写による絵付けで中心に半菊と上がり藤と桔梗?が家紋風に描かれています。
周囲には大福帳の文字を色絵付けして、それを取り囲む様に當座帳と書かれた大福帳や桝、そろばん、天秤、矢立、磁石などの
商売道具?と共に大きく八角時計が描かれてた賑やかな意匠です。
よく見ると紐に付けられた巻きカギらしきものは懐中時計の巻きカギの様にも見えます。
ここでもまだ時計の普及が充分でなかった頃の面影が見え隠れするようです。裏には宝珠模様がプリントされています。
瀬戸か美濃製でしょう。
銅版鳳凰図皿 径17cm
時代は若くなりますが、参考に銅版の転写紙(未使用品)と完成品を一緒に御覧下さい。
右の転写紙は正確には同じ図では有りませんが類似した銅版転写紙です。
丸い図が皿用で半円形のものはティーカップ用の転写模様です。ティーカップの周りにぐるりと巻きつけて転写します。
こういうものは何処かに転写紙の継ぎ目が有りますので立体形のものはその継ぎ目を探すのも面白いですね。
時計の剣のような模様はなんでしょうか・・・?
そうです、ティーカップの取っ手(柄)の部分の外側に貼る飾模様です。
普段何気なく見てるものもこうして見方を変えると又一興ですね?(笑)
6. 印判染付時計豆皿
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明治期の直径10cmの豆皿です。
読書でしょうか、勉強でしょうか、本箱の前で本を読んでいます。
時計はどう言う意味でしょうか?
光陰矢のごとし、少年老いやすく学成りがたし、
一寸の光陰軽んずべからず・・・一刻千金・・などの例え?
八角時計でなく六角で、文字板も逆周りになっていてご愛嬌です。