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神谷時計 KAMIYA CLOCK CO.

2. 敷島号ツインバレル30日巻

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敷島号ツインバレル THIRTY DAY

神谷時計製造合資会社(田中定吉)

メーカー 製造年代 大きさ 仕様・備考
神谷時計製造合資会社(名古屋市) 昭和初期 直径57cm、文字板18吋 ツインバレル30日巻き、ペイント文字板、グレシャム型

「shikishima」は神谷時計のブランド「敷島号」で鉄道省御用達を謳っていた掛時計です。 神谷鶴次郎の時代ではなく、会社が田中定吉へ貸与された後の製品と思います。 敷島号の種類はあまり多くはありませんが、トーマス、グレシャム、スリゲルとあったようですので鉄道省だけを意識して作ったものではなさそうです。

この時計は、外装も機械も筋金入りのジャンクで、戦前の職人が幾度となく機械を調整してもだめだったんでしょう、 で、そのまましばらく放置されたものが近年どなたかが修理にチャレンジしようとして外装をいじくりまわして形にしたものの、 機械はどうにもならずさじを投げた状態で、とりあえず形になっている感じでした。

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敷島号ツインバレル THIRTY DAY

神谷時計製造合資会社(田中定吉)

機械は時方用のゼンマイが2個のツインバレルが特徴です。 時代はまだ八日巻きでした。 ゼンマイを2個にすることで稼働日数は伸ばせますが需要の多い打方がなくなってしまうと売りにくい時計になってしまいます。 でも鉄道省向けだったら問題ないだろう・・・。そんな割り切りな気がします。 筋金入りジャンクになった根本原因は、脱進機にあったようです。 一般的な退却式ではなく、直進式を採用しています。 そのため430gも目方のある振子の振れ幅が少ないだけでなく傾きにとてもシビアです。 時計本体が5mm程度左右にずれているだけでしばらく動いているかと思ったらいつの間にか止まります。 時計が真っすぐな状態で調子よく振れるようにアンクル竿を丁寧に調整したはずなのに、何時間かすると止まっていて、 不本意ながら時計を傾けるとまた動き出す。ん(・・?なんで・・。 理由はアンクルの爪にありました。鋼の平板をアンクル体に差し込むようにしてカシメてある構造ですが、 これが若干緩んでいて、時折爪の角度が変わっちゃうんです。 だから何度アンクルの調整をしても止まりがでる。 戦前の職人さんはおそらくこのことに気づけなかったのだと思います。 なので、文字板裏の履歴から昭和7〜8年に助手2名とともに4回も5回もやり直したことがわかりますが、 イラっとしたでしょうねぇ、笑

商標の刻印があります。(写真7) 朝日と山桜ですね。

敷島の 大和心を 人問はば 朝日ににほふ 山ざくら花
本居宣長

敷島は日本の古い国号のひとつですが、この商標は本居宣長の歌からデザインしたもののようです。

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