1. スリゲール
宮形
メーカー | 製造年代 | 大きさ | 仕様・備考 |
---|---|---|---|
龍水社 (上伊那・長野) |
昭和30年代初期 | 全高55cm | 二週間巻き、 マホガニー塗ケース |
龍水社の宮形スリゲール。 側板に「松尾小」の焼印があり、小学校の備品であったと思われます。
龍水社はあまり知られていないので発足の背景をまとめておきます。
賀川豊彦氏の計画「農村から時計工業を」に基づいて「農村時計技術講習所」が設立され、昭和21年秋から教育を開始。 この技術講習所は、修業年限二ヶ年で時計を主とした旧制高工程度の工業技術を習得させて農村に帰し、 地元に時計工場を経営させることが狙いであった。 入学者は120名いたが、卒業できた生徒は多くなかった。 さらに卒業して故郷で実際に時計工場を起こしたのは二つだった。 ひとつは南信の学制たちが伊奈に作った「龍水社」、そしてもうひとつは北信(長野県篠ノ井)に作った 「千曲川農村時計製作所」である。 龍水社は正確な名称は「上伊奈蚕糸販売工業利用農業協同組合連合会竜水社」で、同連合会が主体となった製糸組合である。 その組合が、昭和23年12月に蚕室・倉庫を改造して時計工場としたが、 この工場で掛時計の製造を開始したのが技術講習所を卒業した人たちであった。
参考資料 ある時計工場の歴史 賀川豊彦と農村時計
龍水社は中三針と30日巻きの製造も試みたといわれていますが、いずれも現物を見たことがありませんので、これらは試作で終わったのかもしれません。
文字板
機械
馬付
アルマイトのような文字板に山にRのマーク、RYUSUISHAの文字が確認できます。 戦後ものとしてはクラシックなスリゲルスタイルです。