1. 毎日巻小型目覚 白大理石枠 【ZENITH】
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メーカー | 製造年代 | 大きさ | 仕様・備考 |
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ZENITH WATCH Co. (スイス) |
大正末 |
高 9.8cm 幅 15.7cm 奥行 4.3cm |
毎日巻、目覚付き、クラブツース脱進機、白大理石枠 |
スイスのゼニスと言えば世界初のオートマチック・クロノグラフ「エル・プリメロ」の腕時計が思い浮かぶ方が多いのではないでしょうか。 腕時計以前の時代は「ゼニット」と呼ばれ、懐中時計はもちろんのこと、振り子時計、天体振り子時計、船舶計器や この時計のような置時計も製造していました。高級クロックとして昭和初期の吉田時計店のカタログにも載っています。
この時計の機械は懐中時計のような機械ですが、懐中の流用ではなくきちんと置時計用に設計されたものです。
目覚も付いて可愛い音でリリーンと鳴ります。
機械と裏蓋にシリアルナンバーが振られていますが、この時計は9864と比較的初期のものです。
この時計の他にもうひとつ40733のシリアルのジャンクの機械を所有しているので比べたところ、
基本的な設計は同じですが後者は機械の合理化が随所に見られることがわかりました。
この時計に使われている機械は小型の置き時計用の代表的な機械として石枠の他にも例えばトラベラーっぽいものなど、
いろいろな枠の時計に使われているのかも知れません。
小型の時計はゼンマイを巻きにくいものですが、
この時計は鍵類は引っ張ると手前に伸びる構造にして操作性を向上しており設計者の拘りが感じられます。
機械と松屋呉服店ネーム入りの箱
チラネジ付きテンプの初期の機械
シリアルも9864と若い |
ネーム入りの箱「東京銀座 松屋呉服店」 |
この時計は「東京銀座 松屋呉服店」のネーム入りの箱に入っています。 松屋が商号を株式会社松屋呉服店に変更したのが大正13年9月、 本店を東京市京橋区銀座三丁目に移したのが大正14年5月とのことですので、時代は大正末頃と推測します。
天賞堂の広告
天賞堂の大正15年発行カタログに、この時計と同じ機械を使った石枠のデザイン違いの置時計が、 「オニキス三角夜光目覚付 瑞西ゼニット製 価35円」と掲載されています。 35円は同時期に販売していたマウテの角形オルゴールが5つ買える値段です。