1. キングセイコー ファーストモデル
メーカー | 製造年代 | 大きさ | 主な仕様 |
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セイコー (第二精工舎製) |
1961 昭和36年 |
外径36mm |
25石、手巻き、テンプ5振動 K14総金張りケース |
亀戸工場の高級機。グランドセイコーファーストモデルは、生産性や市場性を度外視して作られた感がありますが、 こちらは歩度証明書や秒針規正装置を省略して若干リーズナブル(金張りで1万5千円)に仕上がっています。 しかし、基本部分はしっかり作り込まれていて、ケースの金張りはグランドセイコーのそれより厚い100ミクロンです。 12時下の「KING SEIKO」のロゴは、植字や彫り込みではなくプリントで少し物足りない感じです。
SS(ステンレススチール)ケースもあり、数が少な目なので金張りより高い値段で売られていたりしますが 高級感は若干劣るような気がします。 風防はキングセイコー独特の縁が角張ったものです。一般的な丸みをおびたものに取替えてしまうと雰囲気が変わってしまうので、 できればオリジナルにこだわりたいところです。 この時計も、裏蓋のメダリオン(盾)が取れやすいので夏場の汗には気をつけましょう。
金張りとは
金張りとは、真鍮などのベースとなる金属に金合金を張り合わせて圧延したもの。 一般に金メッキのものより高級とみなされ、耐用年数も長い。
ステンレスモデル
※ 裏蓋の盾マークは掘り込みです |
Sマークのリュウズ |
発売当時の資料
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セイコーの高級品 キングセイコー25石
最近は高級品への需要がますます高まってまいりました。 セイコーでは、すでに高級品の最高峰グランドセイコーをはじめ、ロードマーベル、クラウンスペシャル等を発売してまいりましたが、 ここに又高精度の腕時計キングセイコーを発売することになりました。 キングセイコーの機械はクロノスの特徴をそのままひきついだものですから、堅牢さは定評があります。
特徴
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香箱車の軸受に穴石を使用
香箱の上下に穴石を使用していますので、摩擦、磨耗を減らしてゼンマイの出力を充分生かすようになっています。 これは国産ではグランドセイコーに次いで二番目です。
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セルフグリーシングゼンマイ
長期にわたって安定した出力を得るために、キングセイコーにはセルフグリーシングゼンマイが使われています。 このゼンマイは非常に薄い特殊な透明皮膜を施し、ゼンマイ油の働きをしていますので注油が不要なわけです。
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緩急針微動調整装置
緩急針は二重緩急針になっていますので、頭部で粗調整する他に尾部の微動レバーで拡大して精密な調整をすることか出来ます。
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テンプ片振調整装置
ヒゲ持はヒゲ持受に取り付けられていて、単独で動かすことができますから、これによって片振を完全に除くことが出来ます。
セルフ・グリーシング・ゼンマイについて
国産ではセイコーのクラウンだけに使われているセルフグリーシングゼンマイは、油が要らないので、分解・修理の際にも洗い直し、注油の煩雑さがありません。
セルフ・グリーシング・ゼンマイ(ドイツカールハース社製、商品名ニバグライド)は、白ゼンマイに極めて薄い潤滑皮膜を施したもので、 外観的には普通のゼンマイと変わりませんが、油を使った場合と同じ効果があります。 この皮膜は充分な耐久性があり、長期間使用してもトルクが減少することはありません。 注油しないので油の劣化によるトルクの変化がなく、ゼンマイの出力は安定しております。
セルフ・グリーシング・ゼンマイは最初から注油されていないので、他の白ゼンマイとはっきり区別がつきます。 もし誤って注油してもゼンマイの性能には影響ありません。 なんらかの理由で洗浄する場合でも普通の洗浄剤(ベンジン等)で結構ですがトリクレンはなるべく避けてください。
セルフ・グリーシング・ゼンマイの性能は、注油が不要である点以外は、他の白ゼンマイと全く同じで、取り扱い方法も変わりません。
引用:SEIKO news NO.29 1960 11
技術講座シリーズNO.18
セイコー腕時計用ゼンマイ ダイヤフレックスの取り扱い より