1. 型染のミニ知識 ・・・ 型絵染本の技法を知るために(参考)
型染と言うのは着物や布、紙に用いる染色技法の一つで、奈良時代に大陸から伝わったものが江戸時代に江戸小紋、京友禅、 沖縄紅型、浴衣、手拭い風呂敷などに広く使われ発展しました。その他陶器やすりガラスの絵付けにも用いられています。
技法としては和紙を何重にも柿渋で塗り重ねてた渋紙に錐や小刀で図案を切り込み切り絵の様な図版を作ります。 彫った型紙を染める布地の上に置き、その上から防染糊と呼ばれる米糊を刷り込んでいくと、彫った模様に糊が布地に残ります。 これを乾燥して染料で全体を染めた後、糊を洗い流すと模様の部分が白く抜けて模様柄となります。 必要に応じて色を指したりしますが複雑な色数が多いものには多くの型紙を必要とします。 同じ模様を多く反復して染められる特徴が有ります。 強靭な和紙と柿渋に支えられた、日本の伝統的な職人技として型彫職人の技術は国際的にも高く評価され、 正に手彫の技は芸術的ともいえるもので現在この分野でも6人の人間国宝がおられます。 古くから伊勢の白子から全国に販売されていた為、伊勢型紙として有名ですが近年は写真型の技術が確立された為、 伊勢型紙の生産は激減してるのが現状です。 日本の風土が生んだ型紙も生活様式の変化がここにも現れていると言う事でしょうか。
型紙には彫った型がばらばらにならないように「つなぎ」をつけるという特徴が有り、 それがほかに無い型染の独特の世界を作っています。 大きな図柄には「糸入れ」というつなぎの技法が取り入れらていますが大正以降、絹の網をかけて補強する「紗張り」という技法が考案され一般的になります。 それらの資料を少し御覧下さい。
江戸後期の古い型紙
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江戸後期の古い型紙で高度な錐抜技法や卓越したデザイン感覚、摺り面の狭い江戸期の代表的で精緻な作品。
糸入れの型紙
彫った型がばらばらにならないように「糸入れ」というつなぎの技法が用いられた型紙。
大正以降の紗張りの型紙(大型)
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写真を拡大して裏の紗張り(網目状の裏打ち)を御覧ください。
伝統的な手法を使った型絵染の蔵書票
時計をぶら下げた羊飼いの少年をモチーフにした型絵染の蔵書票です。
右が紗張りした型紙、左が土佐和紙に染めた完成版画。
日本では多色木版を使った蔵書票が多いのですがこの型絵染の伝統的な手法を使った蔵書票も多く作られています。
蔵書票とは蔵書印などと同じ目的で本の見返しに貼られる小版画の事でその美しさから紙の宝石などと呼ばれています。
詳細は
日本書票協会のサイト
を御覧下さい。