1. オリエント
吉田時計店が社運隆々として遠く海外に迄活躍していた頃、シーマーをモデルに腕時計業界に進出を企画して建設されたのがこの日野工場である。 昭和11年3月、清洌な多摩流域を選んで建てられた白亜4階建のこの工場は堂々たるものだ。
戦時中は全面的に航空兵器に切り替えられた為、技術の空白を来し、戦後の競争に遅れをとった。 当社はその施設を継承しているが経営上は全然関係がない。 昨年(昭和25年)7月創業以来、斯界の重鎮青木博士を顧問に、菅沼工場長以下文字通り寝食を忘れて工場再建に努めた。 爾来1ヶ年、その良心的な製品は漸く業界の認めるところとなった。
現在社員300名を以て、月産5,000個の腕時計の外、時報時計、輸出用超小型ボールベアリング等も製作している。 月産100,000個以上の能力一杯に活躍する日も近い。
「時計とレンズ」日本時計学会 昭和26年8月号 より
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