2. 和時計の種類
櫓(やぐら)時計
最も古くからある、典型的な和時計である。 機械部分は一般に重量時計で、高さ二尺程度の台に載せられ、台が櫓形であったことから櫓時計と呼ばれる。 重量時計とは、名の如く吊るした重錘が重力によって次第に落下する時の力よって動かすようになった時計である。 機械の歩度は冠形脱進機(Verge Escapement)と棒テンプ、文字板は24時間目盛りである。 他の和時計の機械部分はこの時計の機械部分を進化させたものと考えられる。
台時計
櫓時計の櫓部分を猫足等の四脚型の台に替えた様な時計。 重錘が四脚の間に下がって見えるので、それまで鉛がむき出しであった錘を真鍮で覆ったり、 機械部分の外被の真鍮板に唐草模様を付けたりと、概観を装飾している。 機構的には櫓時計と殆ど変わらないが、後期のものは丸テンプや振子を採用しているものもある。
掛時計
櫓時計の台を取り除き、柱等に掛ける様な形にしたもの。 一般に櫓時計より運行の歯車の軸数が少ない。(櫓時計は4つ、掛時計は3つが多い)
尺時計
櫓時計から発達して日本独特のものとなった時計であり、取扱い方も簡単なため最も普及した柱に掛けるタイプの和時計である。 針が動力用の錘に取り付けられており、錘が箱の中を徐々に落下するに従って、 錘に取り付けられた針が細長い箱の表に取り付けられた時刻目盛尺に沿って動き、時刻を示す仕掛けになっている。
枕時計
ヨーロッパの置時計を模倣した動力にゼンマイを使用した小型の置時計である。 概観が昔の角枕に似ていることからこの名がついたとされる。 初期のものはゼンマイ動力である点以外は機構的に櫓時計と殆ど同じである。 後期のものは、冠形脱進機ではあるが調速をヒゲゼンマイと丸テンプ、或は振子で行う様になっており、 その概観は和時計の内では豪華版であるため、「大名時計」とも呼ばれる。